[上村勝行君登壇](拍手)
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◯上村勝行君 おはようございます。
きのうに引き続きまして、一般質問をさせていただきます。
昨日も触れられましたが、
秋葉原無差別殺人・殺りく事件は大変衝撃的な事件でありました。銃乱射事件が頻発するアメリカを別世界のように見てきましたが、殺人事件も
アメリカ並みになったのかと気が重くなる思いであります。ただ、アメリカのように銃社会でなかったことが不幸中の幸いでありました。
この事件は、自己規制力のない一人の若者が引き起こした許しがたい事件でありますが、背景に格差社会があることは識者が指摘するまでもないことであります。貧富の差はあっても、まだ
共同体的連帯感のあった小泉改革以前が懐かしい気がします。世の中は因果応報と言いますが、少数の者が極端に富を独占する社会はそれなりのはね返りを受けるということを、この事件は警告しているものと思います。
自民党の堀内光雄元政調会長は、「
後期高齢者は死ねと言うのか」というタイトルで「文藝春秋」六月号に寄稿しておられます。その内容は、日本は古来より家族主義を大事にしてきた民族であり、近年家族のきずなを取り戻そうという動きが見えてきた中で、この
後期高齢者保健医療制度はそれと逆行するものである。若い世代が高齢者を支えるのが国民皆保険制度であるのに、制度を別々にして「支援金」と名前を変えて出すことになると、年配者を尊敬させるのではなく、厄介者のように思わせるのではないかと危惧している。これはもはや保険制度ではない。直ちに凍結せよとの要旨であります。
この制度の廃止を主張しますと、対案を出せと言われますが、つくり直すとすれば、その根本であるプライマリーバランスであり、骨太方針であり、日本の
進路そのものであると思います。
共同体的連帯と家族のきずなを弊履のごとく捨て去った
小泉改革路線が根本から総括されなければならないと思います。
さて、中国の
胡錦濤国家主席の訪日は、日中に横たわる懸案を解決、前進させる上で大きなインパクトを与えました。福田・
胡錦濤両首脳が出した「
日中共同声明」では、歴史を直視し、未来に向かい、
戦略的互恵関係の新たな局面を絶えず切り開くことを確認しました。また、
胡錦濤主席が日本の戦後六十年の平和国家としての歩みを積極的に評価されたことは画期的な出来事であったと考えます。同主席は、八四年に行われた
日中青年交流団の中国側団長として訪日されたとのことでありますが、青年同士の交流の大切さが今になってわかる思いであります。
さて、日中の貿易額は貿易総額の一八%を超え、二国間でもアメリカとのそれを超えたと言われております。また、日本のアジアとの貿易額は既に四五%を超え、まさにアジアの時代が始まっているわけであります。
福田総理が
日中首脳会談に続いて、
国際交流会議の「アジアの未来」において「新
福田ドクトリン」を発表し、アジアと真正面から向き合う姿勢を示していることは評価できます。日本は、これまでアメリカを通してしか世界を見ないという枠組みに埋没し、世界の心ある人々を失望させてきましたが、福田総理が冷戦時代の発想を転換した新時代の外交を確立することを期待しております。
我が県では、今回香港との定期航空便も再開され、鹿児島県産品も好調な売れ行きとのことであります。また、江蘇省を含め、長期にわたる人的交流の歴史もあり、深いきずながあります。私は、国際交流は、当面の利害もさることながら、それを超えたところで営々と積み重ねることが大切であり、ひいてはそれが経済交流にもつながると思っております。
新若浜港の開港など、アジアの玄関口としての鹿児島を確立する事業は、いよいよ現実味を帯びております。
日中新時代の流れを県としても積極的にとらえるべきであると思うのでありますが、今回の「
日中共同声明」を知事はどのように受けとめられ、今後どのような視点で交流関係を築こうとされているのか、お聞きいたします。
鹿児島県
男女共同参画推進条例が施行されて六年余りがたちました。この六年余りの間に条例に基づいて多くの施策が実施され、また体制も整備されてきました。これらの成果を平成十九年度
鹿児島男女共同参画の状況から拾い上げますと、
行政委員会、
各種審議会、
農業委員会等への女性の参画が確実に高まってきており、市町村における担当部署の設置も行われてきております。現時点で担当職員がいない県内市町村は、あと一カ所のみとなりました。また、役所における採用、昇進も行われ、一般的には女性の管理職がさほど珍しくなくなりました。
さらに、農村女性の地位とやる気を一気に高める
家族協定締結戸数が確実にふえてきております。また、女性が働き続けるための不可決の条件である認可保育所の定員、在籍児童数が県内でもふえております。
育児介護休業制度、再雇用制度の民間における整備も進んでおります。相談機関におけるセクハラやDVの相談件数もふえておりますが、泣き寝入りをしないという点でこれらも成果のほうに入れるべきでありましょう。これらは、
男女共同参画社会基本法と条例に基づいて関係者が懸命に努力されてきた成果であると高く評価するものであります。
一方、マイナス的あるいは改善されていない面を見ると、時間当たりの
男女給与格差が全国的には縮小したのに、本県では拡大しております。M字型のカーブも相変わらず全国より大きいようであります。雇用形態を見ても、本県女性のパート、
派遣労働者の比率は六年間でむしろ拡大しております。
それでは、女性のやる気はあるかという観点から、本県の
青年海外協力隊派遣者の状況を見ると、女性のほうが五六・一%を占めております。男性は四三・九%であります。海外に出かけていって途上国の役に立とうというのですから、女性のやる気、能力、エネルギーは十分にあると思います。鹿児島県は、このエネルギーを生かし切れていない状況と判断します。
以上、県の資料を中心に現状を述べてみました。
マイナス面、おくれている点は、この間の改革が生んだゆがみの反映でもあり、県にのみ責任を期すべき問題ではないのかもしれませんが、
男女共同参画の取り組みの一層の強化が求められている情勢であると考えます。
そこで、知事にお聞きいたしますが、本県における条例制定以降の
男女共同参画の取り組みをどのように総括されているのでしょうか。また、知事選挙における
次期マニフェストにはどのような施策を盛り込んでおられるのでしょうか。
次に、今回制定された基本計画を見て、今後何をやろうとしているのか。骨太なところが余り見えませんが、率直に言って基本計画は何をねらっているのか、お聞きします。
第三に、
県男女共同参画基本計画の中には数値目標が三件しか定められていないし、しかも、その三件は行政限りでできることであります。民間を含めた努力目標としての数値目標を定めるべきであったと思いますが、その辺の考え方についてお聞きします。
第四に、
男女共同参画は雇用の改善にまつ面が多いと思うのでありますが、本県において、
男女給与差が拡大し、女性のパート、
派遣労働者の割合が半分を占める状況は何としても改善していかねばならないと思います。労働行政は国が持つ部分が多いのでありますが、県はもっと積極的に雇用面における
男女共同参画の取り組みを行い、企業に普及啓発をしてもよいと思うのであります。女性が元気な会社は
会社そのものが元気であるということをもっと積極的に県行政としてもPRし、推奨し、顕彰すべきであると考えますが、見解をお聞きします。
最後に、
基本計画策定に当たっての
パブリックコメントに関し、県の姿勢についてお聞きします。
寄せられた
パブリックコメントの中に、「男として女としての特性は、差別ではなく区別であるとの前提のもとに」云々というのがあります。
パブリックコメントを出すのはもとより自由であり、内容を批判する気は全くありません。問題は、これに対する県の見解が大変持って回った言い方で率直さを欠いていることです。日本政府も批准している国連の「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」によりますと、「女性に対する差別とは、性に基づく区別、排除又は制限であって」と、ちゃんと区別は差別であると書いてあるわけです。原則的なことのPRは、及び腰ではなくもっと明確に県民に対して行っていただきたいのでありますが、見解をお聞きいたします。
鹿児島市の
まちづくりについて質問します。
まず、鹿児島駅の周辺、いわゆる上町の整備についてであります。
この事業は、日豊本線の
竪馬場踏切等複数の踏切の除却を目指した
連続立体交差事業と、鹿児島駅周辺の面的整備の事業であります。これによって、国道十号からの鹿児島駅方面へのアクセスの改善と、上町周辺の振興が期待されております。上町の皆様待望のこの事業は、ようやく国の調査費がつき、事業が着手されたところでありますが、どうもその後の展開がはかばかしくないとの印象であります。
現在、
連続立体交差の基本方針を検討中とのことでありますが、まだ計画の骨格も方向性も決まっていない状況と聞いております。上町の衰退は既に始まっております。喫緊の事業であり、また鹿児島市全体の
まちづくりから見ても重要なこの事業をもっと促進すべきであると思うのでありますが、どのように考えておられるのか。現状と今後の
タイムスケジュール、そしてどのように行おうとされているのか、お聞かせください。
次に、臨港道路についてであります。
この道路は、現在、与次郎の
マリンパレスかごしまの前まで開通し、渋滞解消に大いに役立っているものの、まだ中途半端な状況下にあります。ところが、この道路の路線が最終的に決定されるのは、
マリンポートかごしまの第一期工事二工区の埋め立てが終了し、二期工事を行うか否かの最終判断を出す六年後とのことであります。何とも間延びした話で、産業道路の渋滞を認識しておられるのか疑わしくなるほどであります。
マリンポートかごしまは、
国土交通省から見れば港湾の建設事業であると聞いております。いわゆる人工島は、
国土交通省としては今後つくらない方針とも聞いております。そもそも知事は、「
マリンポートかごしまは見直す」と
マニフェストで言っておられたわけでありますから、着工してもいない二期工事を断念することに何のためらいもないはずであります。したがって、知事におかれては、二期工事の中止を一日も早く決断し、臨港道路の接続路線を決定していただきたいのでありますが、見解をお聞きします。
次に、
鹿児島西部地区の課題について質問します。
まず新川についてでありますが、
床上浸水対策特別緊急事業及び
都市河川改修事業が紆余曲折はありながらも順調に進み、現在、城ケ平橋のかけかえ工事にかかっております。この間の県当局の御努力に地元住民を代表して心から敬意を表します。
ところが、床対事業も徳重橋までで、二十二年度以降は
都市河川改修事業のみとなり、今後、予算のつき方が遅くなるものと思われます。現在、鹿児島市においては、区画整理に関する
ワーキングチームを立ち上げ、
区画整理事業を総ざらいするとともに、今後の方針を決めようとしております。
県は、以前、田上地域の河川や県道の改修については、鹿児島市が実施する面的整備とあわせて実施したい旨この議会で表明され、市当局のほうにも申し入れをされた経過がありますが、今申し上げましたように、事は非常に大事な局面に差しかかっております。重ねて鹿児島市に申し入れをされるよう要請するものでありますが、どのように考えておられるのか、見解をお聞きします。
なお、
西之谷ダムについては、十二月県議会で最終予算がつき、契約も行われる予定と聞いております。現在どのような状況で、今後どのような
スケジュールで建設を推進される予定か、お答えください。
次に、奄美・沖縄航路の
北埠頭移転問題について質問します。
奄美・沖縄航路については、昭和五十七年の
港湾改訂計画で
北埠頭移転が決定されたものでありますが、海運会社の意向で長年未解決状態となっております。この問題については、我が会派も移転促進の立場から何回か意見を述べてまいりました。確かに海運会社の言われる北東の風、
港内潮流等は根拠のないことでもないとは思います。しかし、沖縄航路、喜界航路は現に就航している中では、移転できないほどの危険性があるわけでもないとの認識をしております。
今回知事の判断で、企画部が窓口になって鹿児島市の
まちづくりなど幅広い立場から会社側と話し合い、解決の糸口を見出していくとの方向性が出たとのことでありますが、大変喜ばしいことであります。
最近の本港区北埠頭は、
ドルフィンポートやNHKなどができ、にぎわいを見せつつあるだけではなく、中央駅から北埠頭まで一体的な
にぎわいゾーンとして整備されつつあります。空港や中央駅へのバス便などアクセスもよく、奄美・沖縄航路の利用者から見ても、北埠頭の優位性がさらにはっきりしてきております。
海運会社側の本音もしっかり聞いて、対応できるところは対応して、一日も早い解決を図っていただきたいのでありますが、今回の経過と考え方、今後の見通しについてお聞かせください。
[
知事伊藤祐一郎君登壇]
4 ◯知事(
伊藤祐一郎君)
福田康夫総理と
胡錦濤主席との間で先般発表されました「
日中共同声明」につきましては、日中双方が
戦略的互恵関係を推進し、
政治的相互信頼の増進、人的・
文化的交流の促進及び国民の友好感情の増進などについて双方が協力をしていくこととしており、国際社会の平和、安定と繁栄の実現を目指している我が国として、また、中国を初め、
アジア地域との間でさまざまな交流を積極的に進める本県にとりまして、大いに意義のあることと考えているところであります。
隣国中国との交流につきましては、県として大変重要であると考えており、これまで、江蘇省や香港との間で交流会議を核として、行政、文化・スポーツ、青少年、観光など多様な交流を展開してきているところであります。今後とも、これらの交流で培った人と人、地域と地域の友好関係を基盤としながら、鹿児島の豊かな自然や歴史・文化、安全・安心な食など、本県の多彩な魅力を情報発信し、産業振興にも資する国際交流の促進に努めてまいりたいと考えております。
男女共同参画についてのお尋ねがありました。
本県の
男女共同参画の推進につきましては、平成十四年一月に施行いたしました
男女共同参画推進条例に定めた五つの基本理念のもと、さまざまな取り組みを進めてきているところであります。その結果、県の審議会等における女性委員の登用率が三〇%を超えるなど、政策・
方針決定過程への女性の参画の拡大や、平成十五年四月の
男女共同参画センターの設置、平成十八年三月の配偶者等からの暴力の防止及び
被害者支援計画の策定、
女性農業経営士の認定数や
児童クラブ設置数の増加など、着実に成果を上げてきていると考えております。
男女共同参画に向けた取り組みにつきましては、本年三月に策定した「かごしま将来ビジョン」におきまして「女性がいきいきと参画できる社会の実現」を挑戦の二に位置づけたところであり、
マニフェストにおきましても何らかの形でこのテーマを取り上げ、さらなる
男女共同参画社会の形成を目指してまいりたいと考えております。
臨港道路の整備についてのお尋ねがありました。
マリンポートかごしま二期計画につきましては、当面凍結することといたしておりますが、一期事業の
埋め立て完了後において、
社会経済情勢の変化や財政状況を十分勘案し、議会を含めて、県民の意向を十分踏まえて改めて検討することといたしております。
鹿児島港を南北に結ぶ臨港道路につきましては、効率的な
港湾物流体系の構築や交通渋滞の緩和のために計画され、そのうち
谷山臨海大橋や
天保山シーサイドブリッジ等が供用され、本年秋ごろには金属団地と木材団地を結ぶ橋梁の工事に着手される予定であり、事実上、南北道路に着手したところでありますが、残された中央港区と鹿児島港区とを結ぶ区間につきましては、具体的にどのようなルートを設定するか、今後、その整備のあり方について検討してまいりたいと考えております。
5
◯環境生活部長(高山大作君)本年三月に策定した
男女共同参画基本計画におきましては、
男女共同参画社会の根底をなす最も基本的な男女の人権の尊重の理念があらゆる場で実践されることを目指しております。そのため、基本目標を「男女の人権が尊重される社会の形成」及び「
男女共同参画社会を実現する地域環境の創造」としまして、県民、事業所、市町村等と協働して取り組みを推進することとしております。
また、新たな取り組みとしましては、
まちづくり、防災など、
男女共同参画の視点に立った
地域づくりや、地域における理解の浸透を図るために、各地域で
男女共同参画を推進する人材の育成と
仕組みづくりに取り組みますとともに、仕事と生活の調和を図るための
環境づくり等を推進することとしておりまして、より一層の
男女共同参画の実現を目指してまいりたいと考えております。
数値目標につきましては、
男女共同参画の関連施設の推進を図り、その進捗状況を把握するために設定したものでありまして、今後五年間、各施策の進行管理を行い、
男女共同参画社会の実現を図ることとしているものでございます。民間を含めた数値目標の設定ということにつきましては困難な面もありますが、
男女共同参画社会の形成に向けて、民間企業や団体等に対しましては、この計画の趣旨に沿った活動への取り組みがなされるよう求めていくこととしているところであります。
パブリックコメントに対する県の姿勢についてでございますが、
男女共同参画基本計画は、
男女共同参画社会基本法及び県の条例に基づきまして、男女の人権の尊重などを基本理念として定めたところであります。
パブリックコメントの御意見に対しましては、これらの基本理念について御理解をいただくために、男女が互いにその人権を尊重しつつ、喜びも責任も分かち合い、性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮することができる社会の実現を目指すものであるという県の考え方をお示ししたところであります。
県としましては、今後とも、家庭、学校、職場、地域社会などのあらゆる場において、
男女共同参画社会の形成に関する理解が深まり、実践されるよう取り組んでまいりたいと考えております。
6
◯商工労働部長(六反省一君)女性の雇用改善に取り組む企業のPR等につきましては、国において平成十一年度から、
女性労働者の雇用拡大、
管理職登用などの取り組みや、仕事と育児、介護との両立支援のための取り組みを積極的に進めている企業を、
都道府県レベルや全国レベルにおいて表彰をする制度を実施しており、これまで県内では十二法人が表彰を受けております。
県としても、今年度から、育児休業や
年次有給休暇の取得促進などに積極的に取り組む企業を「
かごしま子育て応援企業」として登録し、
県ホームページや広報紙等で広く紹介することとしておりまして、今後とも、国や関係機関と連携を図りながら、なお一層の普及啓発に努めてまいりたいと考えております。
7
◯土木部長(河瀬芳邦君)鹿児島駅周辺地区の整備についてでございます。
鹿児島駅周辺地区におきましては、駅東西一体の
まちづくりを図る必要があることから、鹿児島市と連携を図りながら取り組むこととしております。県におきましては
連続立体交差事業の検討、市におきましては、
まちづくりや
土地区画整理事業の検討を行っているところであります。
これまで、
連続立体交差事業調査により基本設計など、
土地区画整理事業調査によりまして基本計画の検討などを行ってきておりますが、現在、
県道鹿児島蒲生線のつけかえやJR貨物の
地区内移転などの課題につきまして、県と市で協議を行っているところではございます。
今後とも、市や
鉄道事業関係者などの関係機関などと連携・調整を図りながら取り組んでまいりたいと考えております。
次に、田上地区の
土地区画整理事業についてのお尋ねでございます。
田上地区につきましては、狭隘な地域に人家が連檐していることなどから、新川の改修や鹿児島・東市来線の改良は、周辺の市街地の面的整備とあわせて検討する必要があると考えているところでございます。
鹿児島市は、当該地区の面的整備の事業化につきまして、他の
土地区画整理事業や街路事業の進捗状況及び市の財政状況を踏まえながら検討していくこととされており、県といたしましては、今後とも、河川、道路の整備につきまして鹿児島市と十分協議してまいりたいと考えております。
次に、
西之谷ダムについての御質問でございます。
西之谷ダムにつきましては、
鹿児島市内を流れる新川の治水対策を目的といたしまして、
河川総合開発事業により整備を推進しているところでございます。
これまで、事業に必要な用地の取得を行うとともに、平成十七年度から市道のつけかえ工事に着手しておりまして、
ダム本体工事により通行不能となる区間の工事を終えたところでございます。今年度は、引き続き残る区間の市道の完成を図るとともに、年度末までに
ダム本体工事を発注することとしております。
今後とも、
西之谷ダムの早期完成を図り、御懸念の新川の治水安全度を高め、流域住民が一日も早く安心して暮らせるように努めてまいりたいと考えております。
8
◯企画部長(山田裕章君)奄美・沖縄航路についてでありますが、鹿児島港におきます奄美・沖縄航路の位置づけにつきましては、これまでの整備の方針、整備した施設のあり方、操船上の安全性、人流・物流の効率化や周辺の
まちづくりといった点も含めて、多面的な分析を行った上で最良の解決方策を得るため、改めまして幅広い関係者で構成いたします協議の場を設け、検討を進めてまいりたいと考えております。
この協議の場には、運航事業者のほか学識経験者、奄美の自治体の代表者、港周辺の
まちづくり組織の代表者など幅広い関係者に参加していただくこととしており、七月中には第一回の会合を開催したいと考えております。関係者の合意形成には多少時間がかかるかと思われますが、各委員の御意見を十分に伺いますとともに、人流・物流の実態や利用者のニーズ等についての客観的なデータを集めた上で、解決方策を見出してまいりたいと考えております。
[上村勝行君登壇]
9
◯上村勝行君 御答弁をいただきました。
男女共同参画については、大変意欲ある答弁をいただきました。私は、巷間この問題はいろいろ議論されておりますけれども、ジェンダーフリーとかそういういろいろ言葉の問題については全く関心はありません。私は、
男女共同参画の目標は、女性が社会の中で一定の地位を得、経済的力をつけていくことだと考えております。経済的裏づけのない
男女共同参画は絵にかいたもちだと考えております。
県下の経済は、働き口が少なく、労働市場は買い手市場でありますが、このことが
男女共同参画において、行政レベルの取り組みはかなり進んだけれども、民間レベルの取り組みはさほど進んでいない、そういう結果になっているものと考えます。それだけに今日要請されているのは、県の民間企業への協力要請、しかも顕彰や助成措置を伴う県の普及啓発活動であると考えております。知事のイニシアチブが大変重要な事業でございますので、さらなる取り組みをお願いいたします。
土木行政につきまして、上町の件につきましては、これまで何回もこの場で取り上げられた問題でございます。ぜひとも促進方、お願い申し上げます。特に基本的な計画ができないことには鹿児島市の面的整備の準備もできないわけでございますので、ぜひ緊密な連携のもとに取り組みを進めていただきたいと思います。
私は、鹿児島駅周辺が昔日のにぎわいを取り戻すことはできないかもしれないと思っております。しかし、インフラの集積もある程度されておりますので、新たなにぎわいをつくり出すことは可能だと考えております。上町の皆さんの期待にこたえる意味でも、ぜひとも格段の配慮をお願いいたします。
臨港道路については、大体今までわかっている程度の回答でございました。いろいろこの道路の全線開通については巷間議論がされており、思惑がある道路でもあると考えております。ただ、産業道路の渋滞による経済的損失は大変大きいものがあると思いますので、これまた事業の促進方をお願いいたします。
新川、
西之谷ダムの問題につきましては、都市河川として最後に残された県の仕事であります。治水問題であると同時に、県都鹿児島市の陸の玄関口を整備する事業であります。赤崎前市長は、市長選挙の際に田上に来られて、「吉野と田上は県都鹿児島市の陸の玄関口であるが、現状は玄関口にふさわしくない」と個人演説会で言われたことがあります。私もそのように思います。そういう意味で、田上の整備は県都鹿児島市の陸の玄関口の整備である、県自体の事業でもある、そういうことをしっかり受けとめていただくことを要請いたします。
次の質問に移ります。
警察行政について質問します。
改正道路交通法が六月一日から施行されました。最も関心のあった自転車の歩道走行については、七十歳以上の高齢者や十三歳未満の子供たちは標識のない歩道でも走れるほか、車道の幅が狭い、危険性が高い場合も走行が認められるなど、規制緩和とあいまい化が心配であります。
地球温暖化の折、自転車が対応されることは全く賛成であります。しかし、最近散歩することの多い私、歩行者の立場からすれば、今回の改正は、車道が狭いとか危険であるとかの判断が自転車側に任せられている事例が多い分、脅威に感じます。これ以上の自転車による事故被害者をふやさないための厳格な法の適用と、学校への要請、子供たちへの指導を求めるものでありますが、どのように考えておられるのか、見解をお聞きします。
最近、全国的に女性に対する暴行・わいせつ事案など凶悪犯罪が目立ち、テレビを見るたびに憤りを覚えております。これら凶悪犯罪の影には、表に出ない、出し切れない多くの事件があるものと推測します。これら事件の摘発、捜査は親告罪であるがゆえの困難さが伴うと思いますが、この種、潜在化した女性を対象とした犯罪を的確に把握し、徹底検挙していくことが犯罪の防止につながり、ひいては県民の不安を解消し、安心・安全な暮らしを保障することにつながると思うのであります。
県警は、女性を対象とするこの種の犯罪を把握し、解決する体制をもっと強化すべきであると考えますが、どのような体制をとっておられるのか、見解をお聞きします。
次に、県警は、去る五月二十六日に、被疑者取り調べ適正化のための監督に関する規則に基づく監督制度の試行を全国に先駆けて実施されました。県下二十八警察署全部に監督官を、警務部に巡察官を置いて監視を始められたとのことであります。しかし、この措置によって今後の冤罪の防止が保障されたとはとても思えません。監督官を兼務する次長、警務課長は、署長が任命することになっております。いわば署長の部下職員であります。これら監督官が署長指揮下の捜査の修羅場で的確な監視指導ができるか、甚だ疑問であります。
事実、志布志事件の元被告に限らず、世論も疑問を呈しております。冤罪を防ぐには可視化が必要であるとの指摘にあえて逆らって実施に踏み切った今回の措置を実効性あるものにするために、どのような運用を考えておられるのか、県警本部長の決意を含めてお聞きします。
次に、教育問題について質問いたします。
まず、新学習指導要領改訂問題についてお聞きします。
この学習指導要領は、本年三月に文科省が最終決定したもので、来年六月から準備の整ったものは先行実施され、最終的には小学校は平成二十三年から、中学校については二十四年から完全実施されるとのことであります。まだ実施の時期等については学校裁量の多い内容となっております。
まずお聞きしたいのは、現段階でどのような指導がおりてきているのか。また、学校裁量で先行実施できるにしても、県教委として解説的、マニュアル的な判断基準を示す必要があるのではないかということであります。いかがでしょうか。また、補助教材は適時・適切に現場におろされてくるようになっているのか、あわせてお聞きします。
次に、この新学習指導要領について現場段階の戸惑いは想像以上のものがあります。それは、報告物が多いなど学校の多忙化に伴い、先生方にきちんと子供たちと向き合う時間がなく、慌ただしい環境の中での仕事であり、しかも保護者からのクレームに振り回される事例も多い実態にあるからです。結果的に、全国にも多数の病気長欠者、しかも、精神疾患患者を抱えている状況下となり、教員増をしっかり行わないと新学習指導要領には対応できないということであります。つまり、日本の教育問題は、今や個々の教員の資質と努力を超えたところまで来ており、制度改善が必要になってきていることを認識していただきたいのであります。
この件については、現在、日本の教育全体の問題として文科省の教育振興基本計画づくりの中で関係各位に努力していただいておりますが、子供たちの学力向上と健全な育成のためには、OECD加盟各国並みにGDP比五%の教育予算を確保して対応すべきであると思うのであります。教育長のこの件に関する見解をお聞きします。
次に、高校の総合学科について質問します。
総合学科ができて十年たちました。総合学科は、生徒たちの進路志望が多様化したこと、一方で、なかなか進路を決め切らない生徒がふえてきたこと等の情勢を受けて、生徒が幅広く勉強し、その中で自分自身を見詰め、将来進むべき道を見出すことを目的として設置されたと聞いております。高校一年次でそのため七十時間を充てているとのことであります。
私は、ある私立高等学校が「県立〇〇高校は総合学科で七十時間を無駄遣いしている。うちは大学進学に集中させるから」と言って生徒勧誘をしていると聞いて、大変不愉快な気持ちになりました。それ以来、これら総合学科の進展に大きな関心を持っております。総合学科設置校が順次卒業生を送り出しつつある今日、ある程度の答えらしきものも出つつあるのではないかと思います。現状どうなっているのか、どのような評価をされているのか、補強することは何なのか、お答えください。
平成十七年四月一日に景観三法が施行され、我が国も西欧並みに景観形成を重要施策とする時代に入りました。県のほうでは昨年十二月に景観条例を制定し、次いで本年三月に景観形成ガイドラインと景観形成基本方針を策定しました。また、鹿児島市との共同作業でかごしま都市デザイン会議を立ち上げ、同会議からの提言も受けておられます。そしてこのたび、公共事業に関する県公共事業景観形成基準を策定されました。この基準の策定によって、景観形成に関する県の制度的準備は一通り整うわけであります。
さて、新しい皮袋にどのような新しい酒を盛るか。すなわち今後の具体的展開についてであります。県としては、県民等への普及啓発活動、市町村の景観計画策定等のための助言、地域ぐるみ景観づくり活動への支援の三本柱を機軸に施策を実施されるとのことであります。私は、県の任務は、景観に関する県庁内及び県民の認識を高め、コンセンサスを得ることに尽きると思っております。ついては、どのような観点から具体的にどのようなことをやろうとしておられるのか、お聞きします。
また、景観形成基本方針についてお聞きします。
ゾーン別方向性についてであります。指定されているのは、桜島・錦江湾ゾーンなど四つのゾーンでありますが、これ以外の大隅、南薩、指宿、北薩、種子島地域は指定されておりません。私は、この地域には地域独特の景観、風土があり、目指すべき景観形成の方向性があると思います。当該地域の方々の意見も聞いてゾーン別指定を行い、県下全域があるべき景観に向かって進むようにすべきであると思いますが、見解をお聞きします。
次に、県公共事業景観形成基準について質問します。
一読してみて、よく検討された方針であると受けとめました。特に、事業に当たって華美に流れることなくの戒めは大事なことだと考えます。最近の県事業は、海岸線の道路拡幅工事で自然石を使用し、のり面工事で工夫が見られるなど、改善が顕著に見られます。しかしながら、グランドデザインの視点や生物の多様性への配慮などの面で、いま一歩の踏み込みが必要であると感じております。今回策定された公共事業景観形成基準は、これらの課題にこたえてくれるものと大変期待しております。
そこで、運用についてでありますが、庁内どこを機軸に運用をされるのか、地域住民の意見は担保されているのか、お聞きします。