鹿児島県議会 > 2008-06-11 >
2008-06-11 平成20年第2回定例会(第4日目) 本文
2008-06-11 平成20年第2回定例会(第4日目) 名簿

  • "阿久根高校"(/)
ツイート シェア
  1. 鹿児島県議会 2008-06-11
    2008-06-11 平成20年第2回定例会(第4日目) 本文


    取得元: 鹿児島県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-18
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1  午前十時開議    △ 開  議 ◯議長(金子万寿夫君)ただいまから、本日の会議を開きます。  本日の日程は、配付いたしております議事日程のとおりであります。       ━━━━━━━━━━━━━  議 事 日 程  一、開  議  一、一般質問    上 村 勝 行 君    き 久 伸一郎 君    鶴 田 志 郎 君    本 坊 輝 雄 君  一、散  会       ━━━━━━━━━━━━━ 2    △ 一般質問 ◯議長(金子万寿夫君)一般質問であります。  通告に従って、順次発言を許可いたします。  上村勝行君に発言を許可いたします。
       [上村勝行君登壇](拍手) 3 ◯上村勝行君 おはようございます。  きのうに引き続きまして、一般質問をさせていただきます。  昨日も触れられましたが、秋葉原無差別殺人・殺りく事件は大変衝撃的な事件でありました。銃乱射事件が頻発するアメリカを別世界のように見てきましたが、殺人事件もアメリカ並みになったのかと気が重くなる思いであります。ただ、アメリカのように銃社会でなかったことが不幸中の幸いでありました。  この事件は、自己規制力のない一人の若者が引き起こした許しがたい事件でありますが、背景に格差社会があることは識者が指摘するまでもないことであります。貧富の差はあっても、まだ共同体的連帯感のあった小泉改革以前が懐かしい気がします。世の中は因果応報と言いますが、少数の者が極端に富を独占する社会はそれなりのはね返りを受けるということを、この事件は警告しているものと思います。  自民党の堀内光雄元政調会長は、「後期高齢者は死ねと言うのか」というタイトルで「文藝春秋」六月号に寄稿しておられます。その内容は、日本は古来より家族主義を大事にしてきた民族であり、近年家族のきずなを取り戻そうという動きが見えてきた中で、この後期高齢者保健医療制度はそれと逆行するものである。若い世代が高齢者を支えるのが国民皆保険制度であるのに、制度を別々にして「支援金」と名前を変えて出すことになると、年配者を尊敬させるのではなく、厄介者のように思わせるのではないかと危惧している。これはもはや保険制度ではない。直ちに凍結せよとの要旨であります。  この制度の廃止を主張しますと、対案を出せと言われますが、つくり直すとすれば、その根本であるプライマリーバランスであり、骨太方針であり、日本の進路そのものであると思います。共同体的連帯と家族のきずなを弊履のごとく捨て去った小泉改革路線が根本から総括されなければならないと思います。  さて、中国の胡錦濤国家主席の訪日は、日中に横たわる懸案を解決、前進させる上で大きなインパクトを与えました。福田・胡錦濤両首脳が出した「日中共同声明」では、歴史を直視し、未来に向かい、戦略的互恵関係の新たな局面を絶えず切り開くことを確認しました。また、胡錦濤主席が日本の戦後六十年の平和国家としての歩みを積極的に評価されたことは画期的な出来事であったと考えます。同主席は、八四年に行われた日中青年交流団の中国側団長として訪日されたとのことでありますが、青年同士の交流の大切さが今になってわかる思いであります。  さて、日中の貿易額は貿易総額の一八%を超え、二国間でもアメリカとのそれを超えたと言われております。また、日本のアジアとの貿易額は既に四五%を超え、まさにアジアの時代が始まっているわけであります。  福田総理が日中首脳会談に続いて、国際交流会議の「アジアの未来」において「新福田ドクトリン」を発表し、アジアと真正面から向き合う姿勢を示していることは評価できます。日本は、これまでアメリカを通してしか世界を見ないという枠組みに埋没し、世界の心ある人々を失望させてきましたが、福田総理が冷戦時代の発想を転換した新時代の外交を確立することを期待しております。  我が県では、今回香港との定期航空便も再開され、鹿児島県産品も好調な売れ行きとのことであります。また、江蘇省を含め、長期にわたる人的交流の歴史もあり、深いきずながあります。私は、国際交流は、当面の利害もさることながら、それを超えたところで営々と積み重ねることが大切であり、ひいてはそれが経済交流にもつながると思っております。  新若浜港の開港など、アジアの玄関口としての鹿児島を確立する事業は、いよいよ現実味を帯びております。日中新時代の流れを県としても積極的にとらえるべきであると思うのでありますが、今回の「日中共同声明」を知事はどのように受けとめられ、今後どのような視点で交流関係を築こうとされているのか、お聞きいたします。  鹿児島県男女共同参画推進条例が施行されて六年余りがたちました。この六年余りの間に条例に基づいて多くの施策が実施され、また体制も整備されてきました。これらの成果を平成十九年度鹿児島男女共同参画の状況から拾い上げますと、行政委員会各種審議会農業委員会等への女性の参画が確実に高まってきており、市町村における担当部署の設置も行われてきております。現時点で担当職員がいない県内市町村は、あと一カ所のみとなりました。また、役所における採用、昇進も行われ、一般的には女性の管理職がさほど珍しくなくなりました。  さらに、農村女性の地位とやる気を一気に高める家族協定締結戸数が確実にふえてきております。また、女性が働き続けるための不可決の条件である認可保育所の定員、在籍児童数が県内でもふえております。育児介護休業制度、再雇用制度の民間における整備も進んでおります。相談機関におけるセクハラやDVの相談件数もふえておりますが、泣き寝入りをしないという点でこれらも成果のほうに入れるべきでありましょう。これらは、男女共同参画社会基本法と条例に基づいて関係者が懸命に努力されてきた成果であると高く評価するものであります。  一方、マイナス的あるいは改善されていない面を見ると、時間当たりの男女給与格差が全国的には縮小したのに、本県では拡大しております。M字型のカーブも相変わらず全国より大きいようであります。雇用形態を見ても、本県女性のパート、派遣労働者の比率は六年間でむしろ拡大しております。  それでは、女性のやる気はあるかという観点から、本県の青年海外協力隊派遣者の状況を見ると、女性のほうが五六・一%を占めております。男性は四三・九%であります。海外に出かけていって途上国の役に立とうというのですから、女性のやる気、能力、エネルギーは十分にあると思います。鹿児島県は、このエネルギーを生かし切れていない状況と判断します。  以上、県の資料を中心に現状を述べてみました。マイナス面、おくれている点は、この間の改革が生んだゆがみの反映でもあり、県にのみ責任を期すべき問題ではないのかもしれませんが、男女共同参画の取り組みの一層の強化が求められている情勢であると考えます。  そこで、知事にお聞きいたしますが、本県における条例制定以降の男女共同参画の取り組みをどのように総括されているのでしょうか。また、知事選挙における次期マニフェストにはどのような施策を盛り込んでおられるのでしょうか。  次に、今回制定された基本計画を見て、今後何をやろうとしているのか。骨太なところが余り見えませんが、率直に言って基本計画は何をねらっているのか、お聞きします。  第三に、県男女共同参画基本計画の中には数値目標が三件しか定められていないし、しかも、その三件は行政限りでできることであります。民間を含めた努力目標としての数値目標を定めるべきであったと思いますが、その辺の考え方についてお聞きします。  第四に、男女共同参画は雇用の改善にまつ面が多いと思うのでありますが、本県において、男女給与差が拡大し、女性のパート、派遣労働者の割合が半分を占める状況は何としても改善していかねばならないと思います。労働行政は国が持つ部分が多いのでありますが、県はもっと積極的に雇用面における男女共同参画の取り組みを行い、企業に普及啓発をしてもよいと思うのであります。女性が元気な会社は会社そのものが元気であるということをもっと積極的に県行政としてもPRし、推奨し、顕彰すべきであると考えますが、見解をお聞きします。  最後に、基本計画策定に当たってのパブリックコメントに関し、県の姿勢についてお聞きします。  寄せられたパブリックコメントの中に、「男として女としての特性は、差別ではなく区別であるとの前提のもとに」云々というのがあります。パブリックコメントを出すのはもとより自由であり、内容を批判する気は全くありません。問題は、これに対する県の見解が大変持って回った言い方で率直さを欠いていることです。日本政府も批准している国連の「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」によりますと、「女性に対する差別とは、性に基づく区別、排除又は制限であって」と、ちゃんと区別は差別であると書いてあるわけです。原則的なことのPRは、及び腰ではなくもっと明確に県民に対して行っていただきたいのでありますが、見解をお聞きいたします。  鹿児島市のまちづくりについて質問します。  まず、鹿児島駅の周辺、いわゆる上町の整備についてであります。  この事業は、日豊本線の竪馬場踏切等複数の踏切の除却を目指した連続立体交差事業と、鹿児島駅周辺の面的整備の事業であります。これによって、国道十号からの鹿児島駅方面へのアクセスの改善と、上町周辺の振興が期待されております。上町の皆様待望のこの事業は、ようやく国の調査費がつき、事業が着手されたところでありますが、どうもその後の展開がはかばかしくないとの印象であります。  現在、連続立体交差の基本方針を検討中とのことでありますが、まだ計画の骨格も方向性も決まっていない状況と聞いております。上町の衰退は既に始まっております。喫緊の事業であり、また鹿児島市全体のまちづくりから見ても重要なこの事業をもっと促進すべきであると思うのでありますが、どのように考えておられるのか。現状と今後のタイムスケジュール、そしてどのように行おうとされているのか、お聞かせください。  次に、臨港道路についてであります。  この道路は、現在、与次郎のマリンパレスかごしまの前まで開通し、渋滞解消に大いに役立っているものの、まだ中途半端な状況下にあります。ところが、この道路の路線が最終的に決定されるのは、マリンポートかごしまの第一期工事二工区の埋め立てが終了し、二期工事を行うか否かの最終判断を出す六年後とのことであります。何とも間延びした話で、産業道路の渋滞を認識しておられるのか疑わしくなるほどであります。  マリンポートかごしまは、国土交通省から見れば港湾の建設事業であると聞いております。いわゆる人工島は、国土交通省としては今後つくらない方針とも聞いております。そもそも知事は、「マリンポートかごしまは見直す」とマニフェストで言っておられたわけでありますから、着工してもいない二期工事を断念することに何のためらいもないはずであります。したがって、知事におかれては、二期工事の中止を一日も早く決断し、臨港道路の接続路線を決定していただきたいのでありますが、見解をお聞きします。  次に、鹿児島西部地区の課題について質問します。  まず新川についてでありますが、床上浸水対策特別緊急事業及び都市河川改修事業が紆余曲折はありながらも順調に進み、現在、城ケ平橋のかけかえ工事にかかっております。この間の県当局の御努力に地元住民を代表して心から敬意を表します。  ところが、床対事業も徳重橋までで、二十二年度以降は都市河川改修事業のみとなり、今後、予算のつき方が遅くなるものと思われます。現在、鹿児島市においては、区画整理に関するワーキングチームを立ち上げ、区画整理事業を総ざらいするとともに、今後の方針を決めようとしております。  県は、以前、田上地域の河川や県道の改修については、鹿児島市が実施する面的整備とあわせて実施したい旨この議会で表明され、市当局のほうにも申し入れをされた経過がありますが、今申し上げましたように、事は非常に大事な局面に差しかかっております。重ねて鹿児島市に申し入れをされるよう要請するものでありますが、どのように考えておられるのか、見解をお聞きします。  なお、西之谷ダムについては、十二月県議会で最終予算がつき、契約も行われる予定と聞いております。現在どのような状況で、今後どのようなスケジュールで建設を推進される予定か、お答えください。  次に、奄美・沖縄航路の北埠頭移転問題について質問します。  奄美・沖縄航路については、昭和五十七年の港湾改訂計画北埠頭移転が決定されたものでありますが、海運会社の意向で長年未解決状態となっております。この問題については、我が会派も移転促進の立場から何回か意見を述べてまいりました。確かに海運会社の言われる北東の風、港内潮流等は根拠のないことでもないとは思います。しかし、沖縄航路、喜界航路は現に就航している中では、移転できないほどの危険性があるわけでもないとの認識をしております。  今回知事の判断で、企画部が窓口になって鹿児島市のまちづくりなど幅広い立場から会社側と話し合い、解決の糸口を見出していくとの方向性が出たとのことでありますが、大変喜ばしいことであります。  最近の本港区北埠頭は、ドルフィンポートやNHKなどができ、にぎわいを見せつつあるだけではなく、中央駅から北埠頭まで一体的なにぎわいゾーンとして整備されつつあります。空港や中央駅へのバス便などアクセスもよく、奄美・沖縄航路の利用者から見ても、北埠頭の優位性がさらにはっきりしてきております。海運会社側の本音もしっかり聞いて、対応できるところは対応して、一日も早い解決を図っていただきたいのでありますが、今回の経過と考え方、今後の見通しについてお聞かせください。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 4 ◯知事(伊藤祐一郎君)福田康夫総理胡錦濤主席との間で先般発表されました「日中共同声明」につきましては、日中双方が戦略的互恵関係を推進し、政治的相互信頼の増進、人的・文化的交流の促進及び国民の友好感情の増進などについて双方が協力をしていくこととしており、国際社会の平和、安定と繁栄の実現を目指している我が国として、また、中国を初め、アジア地域との間でさまざまな交流を積極的に進める本県にとりまして、大いに意義のあることと考えているところであります。  隣国中国との交流につきましては、県として大変重要であると考えており、これまで、江蘇省や香港との間で交流会議を核として、行政、文化・スポーツ、青少年、観光など多様な交流を展開してきているところであります。今後とも、これらの交流で培った人と人、地域と地域の友好関係を基盤としながら、鹿児島の豊かな自然や歴史・文化、安全・安心な食など、本県の多彩な魅力を情報発信し、産業振興にも資する国際交流の促進に努めてまいりたいと考えております。  男女共同参画についてのお尋ねがありました。  本県の男女共同参画の推進につきましては、平成十四年一月に施行いたしました男女共同参画推進条例に定めた五つの基本理念のもと、さまざまな取り組みを進めてきているところであります。その結果、県の審議会等における女性委員の登用率が三〇%を超えるなど、政策・方針決定過程への女性の参画の拡大や、平成十五年四月の男女共同参画センターの設置、平成十八年三月の配偶者等からの暴力の防止及び被害者支援計画の策定、女性農業経営士の認定数や児童クラブ設置数の増加など、着実に成果を上げてきていると考えております。  男女共同参画に向けた取り組みにつきましては、本年三月に策定した「かごしま将来ビジョン」におきまして「女性がいきいきと参画できる社会の実現」を挑戦の二に位置づけたところであり、マニフェストにおきましても何らかの形でこのテーマを取り上げ、さらなる男女共同参画社会の形成を目指してまいりたいと考えております。  臨港道路の整備についてのお尋ねがありました。  マリンポートかごしま二期計画につきましては、当面凍結することといたしておりますが、一期事業の埋め立て完了後において、社会経済情勢の変化や財政状況を十分勘案し、議会を含めて、県民の意向を十分踏まえて改めて検討することといたしております。  鹿児島港を南北に結ぶ臨港道路につきましては、効率的な港湾物流体系の構築や交通渋滞の緩和のために計画され、そのうち谷山臨海大橋天保山シーサイドブリッジ等が供用され、本年秋ごろには金属団地と木材団地を結ぶ橋梁の工事に着手される予定であり、事実上、南北道路に着手したところでありますが、残された中央港区と鹿児島港区とを結ぶ区間につきましては、具体的にどのようなルートを設定するか、今後、その整備のあり方について検討してまいりたいと考えております。 5 ◯環境生活部長(高山大作君)本年三月に策定した男女共同参画基本計画におきましては、男女共同参画社会の根底をなす最も基本的な男女の人権の尊重の理念があらゆる場で実践されることを目指しております。そのため、基本目標を「男女の人権が尊重される社会の形成」及び「男女共同参画社会を実現する地域環境の創造」としまして、県民、事業所、市町村等と協働して取り組みを推進することとしております。  また、新たな取り組みとしましては、まちづくり、防災など、男女共同参画の視点に立った地域づくりや、地域における理解の浸透を図るために、各地域で男女共同参画を推進する人材の育成と仕組みづくりに取り組みますとともに、仕事と生活の調和を図るための環境づくり等を推進することとしておりまして、より一層の男女共同参画の実現を目指してまいりたいと考えております。  数値目標につきましては、男女共同参画の関連施設の推進を図り、その進捗状況を把握するために設定したものでありまして、今後五年間、各施策の進行管理を行い、男女共同参画社会の実現を図ることとしているものでございます。民間を含めた数値目標の設定ということにつきましては困難な面もありますが、男女共同参画社会の形成に向けて、民間企業や団体等に対しましては、この計画の趣旨に沿った活動への取り組みがなされるよう求めていくこととしているところであります。  パブリックコメントに対する県の姿勢についてでございますが、男女共同参画基本計画は、男女共同参画社会基本法及び県の条例に基づきまして、男女の人権の尊重などを基本理念として定めたところであります。パブリックコメントの御意見に対しましては、これらの基本理念について御理解をいただくために、男女が互いにその人権を尊重しつつ、喜びも責任も分かち合い、性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮することができる社会の実現を目指すものであるという県の考え方をお示ししたところであります。  県としましては、今後とも、家庭、学校、職場、地域社会などのあらゆる場において、男女共同参画社会の形成に関する理解が深まり、実践されるよう取り組んでまいりたいと考えております。 6 ◯商工労働部長(六反省一君)女性の雇用改善に取り組む企業のPR等につきましては、国において平成十一年度から、女性労働者の雇用拡大、管理職登用などの取り組みや、仕事と育児、介護との両立支援のための取り組みを積極的に進めている企業を、都道府県レベルや全国レベルにおいて表彰をする制度を実施しており、これまで県内では十二法人が表彰を受けております。  県としても、今年度から、育児休業や年次有給休暇の取得促進などに積極的に取り組む企業を「かごしま子育て応援企業」として登録し、県ホームページや広報紙等で広く紹介することとしておりまして、今後とも、国や関係機関と連携を図りながら、なお一層の普及啓発に努めてまいりたいと考えております。 7 ◯土木部長(河瀬芳邦君)鹿児島駅周辺地区の整備についてでございます。  鹿児島駅周辺地区におきましては、駅東西一体のまちづくりを図る必要があることから、鹿児島市と連携を図りながら取り組むこととしております。県におきましては連続立体交差事業の検討、市におきましては、まちづくり土地区画整理事業の検討を行っているところであります。  これまで、連続立体交差事業調査により基本設計など、土地区画整理事業調査によりまして基本計画の検討などを行ってきておりますが、現在、県道鹿児島蒲生線のつけかえやJR貨物の地区内移転などの課題につきまして、県と市で協議を行っているところではございます。  今後とも、市や鉄道事業関係者などの関係機関などと連携・調整を図りながら取り組んでまいりたいと考えております。  次に、田上地区の土地区画整理事業についてのお尋ねでございます。  田上地区につきましては、狭隘な地域に人家が連檐していることなどから、新川の改修や鹿児島・東市来線の改良は、周辺の市街地の面的整備とあわせて検討する必要があると考えているところでございます。  鹿児島市は、当該地区の面的整備の事業化につきまして、他の土地区画整理事業や街路事業の進捗状況及び市の財政状況を踏まえながら検討していくこととされており、県といたしましては、今後とも、河川、道路の整備につきまして鹿児島市と十分協議してまいりたいと考えております。  次に、西之谷ダムについての御質問でございます。  西之谷ダムにつきましては、鹿児島市内を流れる新川の治水対策を目的といたしまして、河川総合開発事業により整備を推進しているところでございます。  これまで、事業に必要な用地の取得を行うとともに、平成十七年度から市道のつけかえ工事に着手しておりまして、ダム本体工事により通行不能となる区間の工事を終えたところでございます。今年度は、引き続き残る区間の市道の完成を図るとともに、年度末までにダム本体工事を発注することとしております。  今後とも、西之谷ダムの早期完成を図り、御懸念の新川の治水安全度を高め、流域住民が一日も早く安心して暮らせるように努めてまいりたいと考えております。 8 ◯企画部長(山田裕章君)奄美・沖縄航路についてでありますが、鹿児島港におきます奄美・沖縄航路の位置づけにつきましては、これまでの整備の方針、整備した施設のあり方、操船上の安全性、人流・物流の効率化や周辺のまちづくりといった点も含めて、多面的な分析を行った上で最良の解決方策を得るため、改めまして幅広い関係者で構成いたします協議の場を設け、検討を進めてまいりたいと考えております。  この協議の場には、運航事業者のほか学識経験者、奄美の自治体の代表者、港周辺のまちづくり組織の代表者など幅広い関係者に参加していただくこととしており、七月中には第一回の会合を開催したいと考えております。関係者の合意形成には多少時間がかかるかと思われますが、各委員の御意見を十分に伺いますとともに、人流・物流の実態や利用者のニーズ等についての客観的なデータを集めた上で、解決方策を見出してまいりたいと考えております。    [上村勝行君登壇] 9 ◯上村勝行君 御答弁をいただきました。  男女共同参画については、大変意欲ある答弁をいただきました。私は、巷間この問題はいろいろ議論されておりますけれども、ジェンダーフリーとかそういういろいろ言葉の問題については全く関心はありません。私は、男女共同参画の目標は、女性が社会の中で一定の地位を得、経済的力をつけていくことだと考えております。経済的裏づけのない男女共同参画は絵にかいたもちだと考えております。  県下の経済は、働き口が少なく、労働市場は買い手市場でありますが、このことが男女共同参画において、行政レベルの取り組みはかなり進んだけれども、民間レベルの取り組みはさほど進んでいない、そういう結果になっているものと考えます。それだけに今日要請されているのは、県の民間企業への協力要請、しかも顕彰や助成措置を伴う県の普及啓発活動であると考えております。知事のイニシアチブが大変重要な事業でございますので、さらなる取り組みをお願いいたします。  土木行政につきまして、上町の件につきましては、これまで何回もこの場で取り上げられた問題でございます。ぜひとも促進方、お願い申し上げます。特に基本的な計画ができないことには鹿児島市の面的整備の準備もできないわけでございますので、ぜひ緊密な連携のもとに取り組みを進めていただきたいと思います。  私は、鹿児島駅周辺が昔日のにぎわいを取り戻すことはできないかもしれないと思っております。しかし、インフラの集積もある程度されておりますので、新たなにぎわいをつくり出すことは可能だと考えております。上町の皆さんの期待にこたえる意味でも、ぜひとも格段の配慮をお願いいたします。  臨港道路については、大体今までわかっている程度の回答でございました。いろいろこの道路の全線開通については巷間議論がされており、思惑がある道路でもあると考えております。ただ、産業道路の渋滞による経済的損失は大変大きいものがあると思いますので、これまた事業の促進方をお願いいたします。  新川、西之谷ダムの問題につきましては、都市河川として最後に残された県の仕事であります。治水問題であると同時に、県都鹿児島市の陸の玄関口を整備する事業であります。赤崎前市長は、市長選挙の際に田上に来られて、「吉野と田上は県都鹿児島市の陸の玄関口であるが、現状は玄関口にふさわしくない」と個人演説会で言われたことがあります。私もそのように思います。そういう意味で、田上の整備は県都鹿児島市の陸の玄関口の整備である、県自体の事業でもある、そういうことをしっかり受けとめていただくことを要請いたします。  次の質問に移ります。  警察行政について質問します。  改正道路交通法が六月一日から施行されました。最も関心のあった自転車の歩道走行については、七十歳以上の高齢者や十三歳未満の子供たちは標識のない歩道でも走れるほか、車道の幅が狭い、危険性が高い場合も走行が認められるなど、規制緩和とあいまい化が心配であります。  地球温暖化の折、自転車が対応されることは全く賛成であります。しかし、最近散歩することの多い私、歩行者の立場からすれば、今回の改正は、車道が狭いとか危険であるとかの判断が自転車側に任せられている事例が多い分、脅威に感じます。これ以上の自転車による事故被害者をふやさないための厳格な法の適用と、学校への要請、子供たちへの指導を求めるものでありますが、どのように考えておられるのか、見解をお聞きします。  最近、全国的に女性に対する暴行・わいせつ事案など凶悪犯罪が目立ち、テレビを見るたびに憤りを覚えております。これら凶悪犯罪の影には、表に出ない、出し切れない多くの事件があるものと推測します。これら事件の摘発、捜査は親告罪であるがゆえの困難さが伴うと思いますが、この種、潜在化した女性を対象とした犯罪を的確に把握し、徹底検挙していくことが犯罪の防止につながり、ひいては県民の不安を解消し、安心・安全な暮らしを保障することにつながると思うのであります。  県警は、女性を対象とするこの種の犯罪を把握し、解決する体制をもっと強化すべきであると考えますが、どのような体制をとっておられるのか、見解をお聞きします。  次に、県警は、去る五月二十六日に、被疑者取り調べ適正化のための監督に関する規則に基づく監督制度の試行を全国に先駆けて実施されました。県下二十八警察署全部に監督官を、警務部に巡察官を置いて監視を始められたとのことであります。しかし、この措置によって今後の冤罪の防止が保障されたとはとても思えません。監督官を兼務する次長、警務課長は、署長が任命することになっております。いわば署長の部下職員であります。これら監督官が署長指揮下の捜査の修羅場で的確な監視指導ができるか、甚だ疑問であります。  事実、志布志事件の元被告に限らず、世論も疑問を呈しております。冤罪を防ぐには可視化が必要であるとの指摘にあえて逆らって実施に踏み切った今回の措置を実効性あるものにするために、どのような運用を考えておられるのか、県警本部長の決意を含めてお聞きします。  次に、教育問題について質問いたします。  まず、新学習指導要領改訂問題についてお聞きします。  この学習指導要領は、本年三月に文科省が最終決定したもので、来年六月から準備の整ったものは先行実施され、最終的には小学校は平成二十三年から、中学校については二十四年から完全実施されるとのことであります。まだ実施の時期等については学校裁量の多い内容となっております。  まずお聞きしたいのは、現段階でどのような指導がおりてきているのか。また、学校裁量で先行実施できるにしても、県教委として解説的、マニュアル的な判断基準を示す必要があるのではないかということであります。いかがでしょうか。また、補助教材は適時・適切に現場におろされてくるようになっているのか、あわせてお聞きします。  次に、この新学習指導要領について現場段階の戸惑いは想像以上のものがあります。それは、報告物が多いなど学校の多忙化に伴い、先生方にきちんと子供たちと向き合う時間がなく、慌ただしい環境の中での仕事であり、しかも保護者からのクレームに振り回される事例も多い実態にあるからです。結果的に、全国にも多数の病気長欠者、しかも、精神疾患患者を抱えている状況下となり、教員増をしっかり行わないと新学習指導要領には対応できないということであります。つまり、日本の教育問題は、今や個々の教員の資質と努力を超えたところまで来ており、制度改善が必要になってきていることを認識していただきたいのであります。  この件については、現在、日本の教育全体の問題として文科省の教育振興基本計画づくりの中で関係各位に努力していただいておりますが、子供たちの学力向上と健全な育成のためには、OECD加盟各国並みにGDP比五%の教育予算を確保して対応すべきであると思うのであります。教育長のこの件に関する見解をお聞きします。  次に、高校の総合学科について質問します。  総合学科ができて十年たちました。総合学科は、生徒たちの進路志望が多様化したこと、一方で、なかなか進路を決め切らない生徒がふえてきたこと等の情勢を受けて、生徒が幅広く勉強し、その中で自分自身を見詰め、将来進むべき道を見出すことを目的として設置されたと聞いております。高校一年次でそのため七十時間を充てているとのことであります。  私は、ある私立高等学校が「県立〇〇高校は総合学科で七十時間を無駄遣いしている。うちは大学進学に集中させるから」と言って生徒勧誘をしていると聞いて、大変不愉快な気持ちになりました。それ以来、これら総合学科の進展に大きな関心を持っております。総合学科設置校が順次卒業生を送り出しつつある今日、ある程度の答えらしきものも出つつあるのではないかと思います。現状どうなっているのか、どのような評価をされているのか、補強することは何なのか、お答えください。  平成十七年四月一日に景観三法が施行され、我が国も西欧並みに景観形成を重要施策とする時代に入りました。県のほうでは昨年十二月に景観条例を制定し、次いで本年三月に景観形成ガイドラインと景観形成基本方針を策定しました。また、鹿児島市との共同作業でかごしま都市デザイン会議を立ち上げ、同会議からの提言も受けておられます。そしてこのたび、公共事業に関する県公共事業景観形成基準を策定されました。この基準の策定によって、景観形成に関する県の制度的準備は一通り整うわけであります。  さて、新しい皮袋にどのような新しい酒を盛るか。すなわち今後の具体的展開についてであります。県としては、県民等への普及啓発活動、市町村の景観計画策定等のための助言、地域ぐるみ景観づくり活動への支援の三本柱を機軸に施策を実施されるとのことであります。私は、県の任務は、景観に関する県庁内及び県民の認識を高め、コンセンサスを得ることに尽きると思っております。ついては、どのような観点から具体的にどのようなことをやろうとしておられるのか、お聞きします。  また、景観形成基本方針についてお聞きします。  ゾーン別方向性についてであります。指定されているのは、桜島・錦江湾ゾーンなど四つのゾーンでありますが、これ以外の大隅、南薩、指宿、北薩、種子島地域は指定されておりません。私は、この地域には地域独特の景観、風土があり、目指すべき景観形成の方向性があると思います。当該地域の方々の意見も聞いてゾーン別指定を行い、県下全域があるべき景観に向かって進むようにすべきであると思いますが、見解をお聞きします。  次に、県公共事業景観形成基準について質問します。  一読してみて、よく検討された方針であると受けとめました。特に、事業に当たって華美に流れることなくの戒めは大事なことだと考えます。最近の県事業は、海岸線の道路拡幅工事で自然石を使用し、のり面工事で工夫が見られるなど、改善が顕著に見られます。しかしながら、グランドデザインの視点や生物の多様性への配慮などの面で、いま一歩の踏み込みが必要であると感じております。今回策定された公共事業景観形成基準は、これらの課題にこたえてくれるものと大変期待しております。  そこで、運用についてでありますが、庁内どこを機軸に運用をされるのか、地域住民の意見は担保されているのか、お聞きします。
     また、経験の蓄積や日進月歩の工法、地域世論の盛り上がりによって、この公共事業景観形成基準もさらに具体化し、充実すべきであると思うのでありますが、定期的な改定は予定されているのか、お聞きします。 10 ◯警察本部長(藤山雄治君)最初に、自転車の歩道通行についてでございますが、今回の法改正によりまして、幼児、高齢者などの法に規定された者のほか、道路工事や駐車車両のため車両左側の通行が困難である場合、交通量が多く自動車等と接触事故の危険がある場合などは歩道を通行できることとなりました。その際、歩道に自転車通行の指定部分があるときにはその部分を、これがない場合には車道寄りの部分をそれぞれ徐行しなければならず、また、歩行者の通行を妨げる場合には一時停止しなければならないなどの義務が課せられたものでございます。  県警察としましては、こうした自転車の正しい通行が行われるよう、交通安全教育班や警察署の警察官を学校に派遣をしての実技指導、あるいは重点地区路線を指定しての街頭指導のほか、自転車安全利用モデル校への指導を強化をしているところでございます。御指摘のように、歩行者に危険を及ぼすような悪質・危険な法令違反については指導取り締まりを徹底してまいりたいというふうに考えております。  次に、女性を対象とする犯罪についてでございますが、女性を対象としたわいせつ事件などは、被害女性が羞恥心などから被害申告をためらう傾向にございます。県警察としましては、このような女性の心情に配慮した対応が行われるよう、捜査第一課に性犯罪被害一一〇番の専用電話を設置をいたしまして、女性警察官が専従で対応しておりますほか、鹿児島市内の主要交番には女性被害相談所を設置しまして、性犯罪相談に応じております。また、性犯罪を認知した場合には直ちに本部に報告をさせまして、情報を集約した上で、性犯罪捜査指導官の指揮のもと、犯人の早期検挙に向けて捜査を行っており、また、本部、各警察署の女性警察官六十四名を性犯罪指定捜査員に指定をいたしまして、事件捜査や被害者の心のケアに当たっているところでございます。  最後に、取り調べ監督制度の運用についてでございますが、被疑者取り調べの監督制度は、本年四月に公布されました国家公安委員会規則によりまして、来年の四月から施行されるものでございます。  この制度は、犯罪捜査を担当しない総務または警務部門に取り調べの監督を担当させるものでありますけれども、この制度によりまして、警察組織内部におけるチェック機能が発揮され、取り調べに係る不適正行為の未然防止を図ることができるというふうに考えております。  県警察としましては、この制度を実効あるものとするため、来年四月からの施行に向けまして、既に五月二十六日から全国に先駆けまして試験運用を開始したところでございますけれども、この運用に当たりましては、その趣旨、内容等が職員一人一人まで確実に浸透するよう、職員に対する指導教養の徹底を図っているところでございます。  県警察としましては、被疑者取り調べの監督制度を適切に運用するとともに、引き続き、従来から進めてまいりました適正捜査の諸対策を進めてまいりたいというふうに考えております。 11 ◯教育長(原田耕藏君)新学習指導要領の周知につきましてでございます。  本年三月に告示をされました新たな学習指導要領の実施につきましては、平成二十年度中に内容の周知徹底を図った上で、平成二十一年度から算数、数学や理科の一部など可能なものから先行実施をいたしまして、平成二十三年度、二十四年度までに移行することとなっております。  具体的な教科等の指導内容につきましては、本年七月に国から説明を受けることとなっておりまして、県教委といたしましては、その説明を踏まえ、説明会の開催や独自の指導資料の作成、配付によりまして、速やかに各市町村教育委員会や県下の全小・中学校に対しまして周知をする予定でございます。また、現行の教科書に記載のない事項につきましては、その実施に支障がないよう国の責任において補助教材を作成、配付することといたしております。  県教委といたしましては、新学習指導要領への円滑な移行がなされるよう、教職員の指導等、適切に対応してまいりたいと考えております。  国における教育予算の確保についてでございます。  国におきましては、現在、教育振興基本計画を策定中でありまして、教育投資の規模をどのように設定すべきか、各方面からさまざまな議論がなされているところでございます。全国都道府県教育長協議会では、児童生徒一人一人の個性や能力を重視した教育の実現に向けまして十分な施策が実施できるよう、具体的な数値目標の設定などを国に対し、要望いたしているところでございます。  私は、教育は人づくりであり、社会の発展を支える人材を育成するという重要な役割を担っていると考えておりまして、教育の機会均等と教育水準の向上という視点に立って、国の責務として、地方の実情に応じた教育を行うために必要な財源が確保されるべきであると考えております。  総合学科の現状と評価についてでございます。  総合学科では、一年次に「産業社会と人間」という科目の学習を通して、生徒みずからが将来進むべき道を見出し、二年次からは、それぞれの進路希望に応じた科目を選択学習しながら進路実現を図っているところでございます。  本年三月に第一期生を送り出した鶴翔高校では、大学などへの進学や、金融機関、製造業、公務員等への就職など、それぞれが希望した進路を実現しており、第一期生を対象としたアンケート調査では約八割の生徒が総合学科に満足していると答えております。また、開校三年目の徳之島高校や二年目の川薩清修館高校におきましても、学力向上や部活動に力を入れますとともに、簿記検定や情報処理検定等の上級資格取得に向けまして、生徒と職員が一丸となって取り組んでおり、引き続きその成果を期待をいたしているところでございます。  一方、中学生やその保護者からは「総合学科の内容がわかりにくい」という声もありますことから、今後とも、学科の特徴や各学校の取り組みの広報に努めまして、生徒一人一人が生き生きと学びながら、着実な進路実現を図ることができる学校づくりに努めてまいりたいと考えております。 12 ◯企画部長(山田裕章君)景観形成の具体的展開についてでありますが、良好な景観形成を図りますためには県、市町村及び県民等が景観形成に対する認識を深め、多様な主体が一体となって取り組むことが重要であると考えております。  このため今年度は、県民等への普及啓発として、県政広報番組等での啓発を初め、景観セミナーの開催や、すぐれた取り組みへの表彰を行いますほか、市町村への景観アドバイザーの派遣や自治会やNPO等による地域ぐるみの景観づくり活動への支援を行うこととしております。また、県庁内におきましては、関係三十課で構成いたします景観形成推進連絡会議におきまして、良好な景観形成に関する施策の総合的な調整を図りますとともに、職員研修等の場で意識啓発を図りますなど、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  県景観形成基本方針にお示ししました桜島・錦江湾、霧島、屋久島、奄美ゾーンにおきます広域的な景観形成の方向性につきましては、県民の間に共通の認識のあった本県の主な観光地や国立公園等について例示したものでございます。  これらの地域以外におきましても、生活に潤いをもたらす農村や山河の風景など、広域的に景観形成に取り組むべき地域があり、河川の流域の一体的な景観形成や美しいまち並み景観への表彰など、市町村独自の取り組みも見られるところであります。今後、こうした市町村の取り組みとの連携を図りながら、各地域における景観形成の議論を深めつつ、地域の特色を生かした広域的な景観形成を促進してまいりたいと考えております。 13 ◯土木部長(河瀬芳邦君)公共事業景観形成基準についてでございます。  このたび策定いたしました公共事業景観形成基準につきましては、景観条例に基づき、良好な景観の形成に配慮した公共事業を推進するため、実施に当たっての基本的な考え方や景観検討の手続などを定めたものであります。  運用に当たりましては、土木部だけでなく、庁内の関係十六課から成ります公共事業景観形成推進部会が中心となることとしておりまして、本部課におきまして、事業箇所ごとの検討結果などにつきまして取りまとめることとしております。  また、地域住民の方々の御意見につきましては、対象となります事業の計画段階におきまして、地元市町村との協議や住民説明会などを通じまして伺うこととしております。これらのことから、景観検討の手続の中で、地域住民の方々の御意見をお伺いするということが担保されていると考えております。  本基準の改定につきましては、必要に応じ検討することとしておりますが、まずは本基準の円滑な運用を図ることによりまして、景観に配慮した公共事業の推進に努めてまいりたいと考えております。    [上村勝行君登壇] 14 ◯上村勝行君 改正道路交通法について御答弁をいただきました。  学校にも出向いて指導取り締まりを徹底する、周知も行うということでございますので、ぜひよろしくお願い申し上げます。  女性の暴行事件等についての御答弁でありますが、専用の電話を置き、専従を配置して取り組んでいるということでございます。各警察署を見ますと、大変成果を上げているところもあるようでございますので、ぜひその取り組みの教訓等を全署のものにしながら、さらなる取り組みをお願い申し上げます。  監督官、巡察官の設置について御説明がありました。  一年前倒しで先行し、実施されたという意欲は評価いたします。ただ、問題は、やはり身内の中のチェック体制であるという基本的なものは最後までついて回ると思います。今、全国で起きている冤罪や裁判員制度の準備等の進展に伴い、捜査、取り調べの可視化を求める世論が高まっております。今後これは高まりこそすれ、おさまることはないと考えます。やはり私どもが求めるのは、警察文化といいますか、無謬性、誤りを侵すことのない警察という概念から、間違いもあり得るという前提に立った警察の活動体制、捜査体制、そういうものが必要ではないかというふうに考えております。  そういう意味で、外部の方々を入れた監視体制とあるいは可視化の問題、ぜひともこの問題、世論の動向に気をつけながら、監察官、巡察官の取り組みは一方ではやられながらも、流れとしての可視化の問題をぜひ積極的に受けとめていただくようにお願いいたします。  教育の問題について、いろいろ御答弁をいただきました。  今、新学習指導要領の改訂が示されて、それなりの成果も上げるとは思いますが、巷間言われますように、週一時間、二時間程度の時間延長によって日本の教育が変わる、そういう甘い情勢ではないというふうに私は考えます。そういう意味で、ぜひここはしっかり教育振興基本計画にきちんとした予算を確保して、先生の増員、設備の充実を行う以外に現状は打開できないとの認識に立って取り組みを進めるべきである、このように考えます。  今や世界に冠たる北欧の教育レベルの高さは、やはり先生方をたくさん配置していただいている、そういうことに尽きるのではないかと、このように考えます。総合学科についても大きな成果を上げつつあるとのことでありますので、ぜひいろんな課題を補強しながら取り組みを進めていただきたいと、このように考えます。  以上、大変多岐にわたる質問でございましたが、懇切丁寧な御答弁をいただき感謝を申し上げながら、私の質問を終わります。  御清聴、大変ありがとうございました。(拍手) 15 ◯議長(金子万寿夫君)次は、き久伸一郎君に発言を許可いたします。    [き久伸一郎君登壇](拍手) 16 ◯き久伸一郎君 おはようございます。  通告に従いまして、県政全般で三件、そして地元の要望として四件ほど質問をさせていただきます。  まず、新型インフルエンザH5N1対策についてでございますが、四月三十日の日本経済新聞に高病原性鳥インフルエンザに関する記事が記載されておりました。  それによりますと、この新型インフルエンザは、毎年猛威を振るうインフルエンザとは異なり、非常に毒性の強い鳥インフルエンザが変容して、そして人から人へうつるとあります。専門家は、これが世界的な大流行、パンデミックになるのではないかということで、大変危機を募らせております。  H5N1に感染をしました患者は、世界で三百八十一名、そしてその中で亡くなった方が二百四十名といいますから、この致死率は六三%、大変高いものであります。そして大変恐れられております。これにかかりますと重い呼吸不全に陥って、そして免疫機能が異状になり、多臓器の不全に陥ります。  過去、二十世紀に三回ほど大きな発生がございました。第一次世界大戦の一九一八年に起きたスペイン風邪は、これは余りにも有名でございます。全世界で四千万から一億の方が亡くなったと記事には書いてありました。  五七年のアジア風邪、そして六八年の香港風邪、これらはいずれも鳥ウイルスが変移したものであります。  H5N1鳥インフルエンザは、特に東南アジア、熱帯や亜熱帯を中心とする地域で発生し、そして国、季節を問わず人から人へ感染をして歩く。そして夏にこのウイルスが発生するのではないかということで専門家は警戒を強めております。  四月三十日の地元新聞でありましたが、秋田県の十和田湖で白鳥の死骸からこのH5N1のウイルスが検出されたという報道がございました。  国内では、昨年の三月、熊本県の方で野生のクマタカ以来の報道でございまして、国や秋田県は拡大防止のために全力を尽くしております。  この白鳥から検出されたウイルスの保有状況を調べてみましたら、白鳥からのウイルスを鶏八羽に接種をしまして、そしてこれが十日以内で六羽が死んだとすれば、強毒性のH5N1だと判定されるとあります。これは一日にして七羽が死んだといいますから、強毒性のインフルエンザであるということが実証されたというふうに記事に書いてありました。  ここで、国としては、必ず起こると予想される新型インフルエンザの世界的大流行、パンデミック対策を急ピッチで推進をいたしております。  まず、新型インフルエンザ対策を実行に移すための改正法を整理させたと新聞で報道がございました。そしてワクチン接種の計画の公表、さらには外国からの流入の防止、そして水際作戦も盛り込まれております。  厚生労働省の発表では、二〇〇八年、本年度中に六千四百名を対象にそのワクチンの安全性と有効性を試す、いわば臨床研究の形で事前接種を行うというふうに発表いたしてあります。それで来年の二〇〇九年ですが、プレパンデミックワクチン接種を一千万人に拡大をし、そこで高い安全性と有効性が確認できたら、一般に広げていくというふうにも発表されております。  この一千万人の対象者でありますが、まず、医療従事者の方たち、そして社会機能保持者、自衛隊や警察の治安維持者、そして水道、ガス、電気などのライフライン関係者、または都道府県・国会・地方議会議員、市町村長や道路、鉄道、航空、マスコミの方たちというふうになっております。  ここでちょっと疑問でございますが、この対象者の中に養鶏者の方たち、毎日鳥に接触をし、食を提供する側の方たちが対象から漏れているということはいかがなものかなと疑問を呈したいところであります。  県は、国の新型インフルエンザ対策に準じて平成十七年十二月、新型インフルエンザ対策行動計画を策定をし、十九年の二月、新型インフルエンザH5N1対応マニュアルフェーズ3を策定。そして十二月には、新型インフルエンザフェーズ4以降の各種対応のガイドラインが策定されるなど新型インフルエンザ対策に向けて積極的に取り組んでおります。  そこでお聞きいたしますが、このガイドラインではどのようなことを示しておられるのか。また、どのように周知徹底されるのかお伺いをいたします。  また、先般、東京都品川区の品川保健所は、日本で最初に新型インフルエンザの訓練を行った地域でございます。私もその調査に行ってまいりました。行政、医療機関、そして住民を含めて新型インフルエンザパンデミック対策の訓練を行っており、そしてシミュレーションをまとめてもらいました。  そこで、本県としては、この総合的訓練を行う考えはないのかお伺いをいたします。  次に、介護福祉教育・総合学習の時間のさらなる活用についてでございます。  私は、昨年の第四回定例会一般質問において、介護福祉教育、そして総合学習時間の活用の状況について質問をさせていただきました。  将来、本県のみならず、国のどの地域においても間違いなく高騰し続けるこの医療介護福祉費の状況と今後の推移について、そして視点を変えて教育という視点からも問題提起をさせていただきました。  この件につきまして、時の岡積教育長はこのような御答弁をされております。「今後、一層の高齢化社会を迎える中で、学校の教育を通して福祉や介護に問題意識を深めることは大変重要なことでありますことから、各教科や総合的な学習の時間の中で指導の充実を図ってまいりたい」とのお考えを示しておられました。改めて原田教育長のお考えをお示しいただきたいと思います。  なお、本県では、約六割以上の小・中学校で老人ホームを訪問、体験活動している学校がございます。訪問活動を行っていない学校にあっても、将来、お年寄りを支えていけるような教育が必要であると思いますが、教育長はどのように考えておられるかあわせてお伺いをいたします。  また、介護福祉に関する専門の学科を設置している県立高等学校が三校ございます。その他の県立高等学校へのその指導を流す考えはないのかお伺いをいたします。  三番目でございますが、環境教育について質問をいたします。  幼稚園、小学校、中学校、高等学校のこの教育現場で環境問題を取り上げているテレビを拝見させていただきました。私は、これを見て、この環境教育の重要性と必要性というものを大変強く感じた一人であります。  地球規模で環境問題の深刻化、これは三つの危機がございます。  一つには、地球温暖化の危機です。経済発展に伴って二酸化炭素の排出が増加している。その中での気候変動の問題であります。  二点目に、資源枯渇による危機。これは大量生産、大量消費、大量廃棄物等含める社会経済活動に伴う問題であります。  三番目に、生態系の危機、乱開発による生物多様性の大幅な喪失があります。  これらの三つの危機は、私たち人間の安全保障との密接な関係の中で人類の重要な試練であるというふうに受けとめております。  国としては、十九年六月に閣議決定をされました二十一世紀環境立国戦略の中で、持続可能な社会の構築の必要性を掲示し、その実現に向けた重点戦略の一つに環境を感じる、そして考える、そして行動する人づくりを掲げております。  また、さらに同戦略の具体化に二十一世紀環境教育プラン、いつでも・どこでも・だれでもの二十一世紀環境教育プラントリプルAが提示されました。この二十一世紀環境プラントリプルAにありますように子供から大人まであらゆる年齢層において、そして、家庭、学校、地域、企業の中で生涯にわたって質の高い環境教育、環境学習の機会を提供する必要があるというふうに定義づけられております。  そこでお尋ねいたしますが、県として環境への関心と理解を深めるためにどのように取り組んでおられるのか。そして特に学校教育において環境学習の機会を設けたり、また、環境を考慮した学校施設の整備等が必要であると考えますが、県の考えをお示しいただきたいと思います。  四点目の児童生徒の携帯電話に関してでありますが、きのうの持冨議員とも重なっておりますので、割愛をさせていただきたいと思います。  なお、高度情報化社会によって児童生徒が出会い系サイトで犯罪に巻き込まれるケースが多発いたしております。  したがいまして、未来を支える児童生徒にまず、適正な情報の活用能力を指導する必要があろうかと思いますので、お願いをいたします。  これで第一回目の質問を終わらせていただきます。 17 ◯保健福祉部長(岩重秀人君)新型インフルエンザ対策についてでございます。  フェーズ4以降の各種対応ガイドラインにつきましては、新型インフルエンザが発生した段階以降の患者の早期発見や医療体制の整備、感染の拡大を防ぐための地域封じ込め策などを明示いたしますとともに、職場や学校、一般家庭などそれぞれが取り組むべき対応を盛り込んだものでございます。  このガイドラインは、パブリックコメントを経まして、医療機関、消防、自衛隊等で構成する感染症危機管理協議会で協議の上、策定したものでございまして、これまで市町村、各種団体などに対して直接説明いたしますとともに、住民や参加の企業への周知や広報などをお願いしてきているところでございます。  新型インフルエンザの対応訓練につきましては、これまで各地域振興局において医療機関、消防機関、市町村等との連携による患者発生及び搬送対応訓練を、また、九州各県との連携による患者発生情報対応訓練等を実施してきているところでございます。  また、保健福祉部では、役割分担の確認や課題把握の訓練を行ったところでございまして、今後さらに具体的な訓練の内容や規模などを検討いたしまして、この秋にも医療機関や消防等を含めた総合訓練を実施することとしたいと考えております。 18 ◯教育長(原田耕藏君)介護福祉教育等につきましてでございます。  児童生徒が高齢者や介護を必要とする人の気持ちに触れたり、生活上の困難さを体感したりして、福祉や介護への関心を高め、よりよい生き方を目指していくことは極めて重要であり、今後一層の高齢化社会を迎える中で、学校教育を通して一人一人の子供に対して福祉や介護に関する問題意識を身につけさせる取り組みを進めていくということが必要であると考えております。  本県では、約六割以上の小・中学校が総合的な学習の時間等で老人ホームの訪問活動や介護体験等を行っておりますが、これらの体験学習を行っていない学校におきましても、家庭科や社会科の中でバリアフリーやボランティア活動などの内容を学習したり、地域のお年寄りに物づくりや昔の遊びを教わる交流活動を行ったりしているところでございます。  今後とも地域の実態に応じながら、介護福祉に関する学習が充実するよう指導してまいりたいと考えております。  県立高校の介護福祉に関する教育についてでございます。  県立高校におきましては、すべての高校生が家庭科の学習の中で、車いす等を用いた介護実習を取り入れながら、高齢者の福祉と介護について基礎的な学習を行っております。  また、普通科に教養福祉コースを設けている高校が一校、福祉に関する専門科目を開設している高校が十校ありまして、基礎介護や家庭看護、福祉などの学習を通して介護を適切に行う能力と態度を育成しているところでございます。  さらに、福祉に関する専門学科を設置している高校が三校あり、より専門的な学習を深めて、国家資格である介護福祉士の養成を行っているところでございます。  今後ともすべての高校生に福祉と介護の基礎を学ばせますとともに、専門的な知識、技術を身につけた人材育成にも努めてまいりたいと考えております。  学校教育における環境教育についてでございます。  県教委におきましては、これまでも平成十七年三月に策定をされました鹿児島県環境学習推進基本方針に沿いまして、環境問題解決のため、みずから進んで取り組む人材の育成を図るよう環境教育を推進してきております。  具体的には、小・中学校の授業におきまして、環境の変化が生態系に及ぼす影響、環境との調和を図った科学技術の発展、環境に配慮した消費生活などを取り扱っておりまして、県下のほとんどの学校がごみ処理場などの施設見学、あるいは海岸や河川の調査と清掃、希少生物の保護、学校版環境ISOなど地域の特色を生かした体験的な環境教育に取り組んでおります。  また、太陽光発電等の利用、建物緑化、ビオトープの整備など環境を考慮した学校施設の整備も進めているところでございます。
     今後とも持続可能な社会づくりに主体的に参画できる人材をはぐくむ環境教育の充実に努めてまいりたいと考えております。 19 ◯環境生活部長(高山大作君)県におきます環境教育の推進についてでございます。  環境教育の推進につきましては、平成十七年三月に策定した県環境学習推進基本方針に基づきまして、子供たちがグループで環境を学ぶ「こどもエコクラブ」の支援や学校、地域等への環境学習アドバイザーの派遣、緑豊かな農村や森林、または水辺と触れ合う体験型環境学習など子供のころから環境への関心が高まるよう取り組んでいるところであります。  地球温暖化を初めとする環境問題に対しましては、県民一人一人がみずから進んで環境保全活動に取り組むことがますます重要になってきております。  県といたしましては、環境学習の円滑な推進を図るため、庁内に設置しております県庁環境学習推進連絡会議等を通じまして、庁内各部とも連携を図りながら、環境学習を支援する各種事業を展開し、環境教育、環境学習の充実に努めてまいりたいと考えております。    [き久伸一郎君登壇] 20 ◯き久伸一郎君 それぞれ御答弁をいただきました。  この新型インフルエンザH5N1についてでありますが、県の方から、初歩的な自分たちでできる予防というのがあるようでございます。これはあくまでも日経新聞に書いてあったのでありますが、まず、発生をしたと聞いたら、人込みは絶対避けるのが大前提であるようであります。そしてマスクをする。さらには、帰ってうがい、手を洗うとあります。これは通常のインフルエンザ対策でも有効であります。  したがいまして、このような日常からすぐできるようなことを周知徹底させることも大切であろうかと思います。  そしてちょっと風邪をひいた、ちょっと体調が悪いということで何構わず医療機関に行ってはだめだそうでございます。これは、ちゃんと新型インフルエンザの受け入れ態勢が充実した、態勢ができた施設に行かないと、かえって感染を広げたり、そして自分が感染、うつったりということになります。  したがいまして、この点も含めて周知徹底と、そして総合的訓練をもうちょっと深めていただくよう要望をいたします。  それから介護福祉教育と総合的学習時間のさらなる活用についてでありますが、皆さん将来、自宅にいて親を見なければならない時代、それがもっと行きますと、親が親を見る老老介護の時代になってきます。  理想的に言いますと、県民一人一人が介護福祉の基礎的知識と実践力を身につけることができればと思いますが、本県としましては、介護福祉県の先進県を目指したらいかがかということで、私は去年の第四回定例会議で課題提起をさせていただきました。  教育という大枠の中の介護福祉教育でありますが、その重要性について私自身、政治的課題として今後、取り組んでいきたいと考えておりますので、教育長には理解と推進をしていただきますようよろしくお願いをいたします。  それから環境教育でございます。  これからの社会を背負っていくのは、当然若い子供たちでございますので、この手身近な優しい、普段から環境の教育を行う。それによって習慣性が増し、そして大きな知識を得て行動力が増して効果を出すということになろうと思いますので、環境教育の方もしっかり御要望をさせていただきたいと思います。  では、引き続きまして質問に入らせていただきます。  奄美・琉球諸島世界自然遺産登録についてであります。  近年、国内的にも世界的におきましても先人たちが残した希少な自然、そして希少価値の高い文化を未来へ、次の時代へ残さなければならないという機運が大変高まってきております。  奄美・琉球諸島世界自然遺産登録に関しましては、県の環境保護課、環境省、林野庁、そして地元自治体含めて登録基準へ向けて今、動いているところであります。  二〇〇七年七月現在でありますが、世界自然遺産登録をされた地域が百六十六カ所、そして文化遺産に登録された地域は六百六十、複合遺産が二十カ所であります。  日本国内では、自然遺産の今後の候補地として、小笠原と、そして奄美諸島のこの二つの地域が登録を目指しております。  この登録を目指すための四つの基準がありますが、一つに自然景観、そして地形、地質、生態系、そして生物性、多様に満ちているということになっております。奄美・琉球諸島は、それに該当するという報告を受けております。  登録への基準の最大の関門は、国立公園での保護措置を受けるということになっております。  したがいまして、今、地元では、候補地域限定の選定や国定公園から国立公園への昇格の査定、そしてまた、沖縄県との連携など課題は山積いたしております。  世界自然遺産登録されますと、多くの利点があります。新たな観光産業の創出や、そして人口増、そして国内外との交流、また、環境に関するイベントなど多くの利点がある。  また、その一方ですが、過剰な利用で環境保全の危機が地域社会の急激な変化による現状とのあつれき、ここらも協議を重ねていく一つの課題でございます。  屋久島の一例をとらせていただきますと、人口がわずかに伸びておりまして、観光客に関しましては、平成二年を基準とした場合でありますが、一六九・五%伸びております。そして観光バスが二倍、宿泊施設が二・八倍、レンタカーの保有台数が四倍、そして観光事業に従事する、ガイドさん含めて五倍ふえております。これは紛れもなく地域への経済的活性化の寄与というふうに位置づけられると思います。  そこでお尋ねをいたしますが、奄美・琉球諸島世界自然遺産登録について、現在の進捗状況についてお伺いをいたします。  そしてまた、地元の盛り上がりがない、欠けているということを地元住民を初めとして、そして集落、企業、官公庁、そして子供たちなどへの啓発活動はどのように取り組んでいるのかお尋ねをいたします。  次に、ラムサール条約についてでございます。  ラムサール条約とは、湿地帯、そして湿原、沼地、泥炭地、そして陸水域の水深六メートルの海域は、希少湿地と定義されておりまして、湿地の保全と賢明な利用を高める条約というふうに位置づけてあります。  一九七一年、イラン北部のカスピ海湖畔に隣接するラムサールという町で、特に水鳥の生息地、国際的にも重要な湿地に関する条約という定義で初めてラムサール条約が締結されました。  現在、世界では百五十四カ国が加盟し、千六百四十一カ所がその認定になっております。  そして日本は一九八〇年に加盟。そして二〇〇七年、去年の一月現在では三十三カ所になっております。鹿児島県では、屋久島の永田浜、そして藺牟田池がそうでございます。  このラムサール条約の登録の進め方でございますが、国際的に基準を満たさなければなりません。その一つに、まず、国際的重要な湿地であるという位置づけであります。これは、国際的基準の九つの中のいずれかに該当すればいいということであります。あと、国の法律、自然公園法、そして鳥獣保護法により、将来、自然環境保全が図られる地域というふうになっております。そしてあとは地元の賛同を得るということになります。  これらの条件をクリアいたして登録への進め方というふうになりますが、一番目に諸条件の調査が入ります。そして地元の賛意、賛同を得ます。三番目に、都道府県、市町村の方が政府、環境省への要請を行います。四番目に、環境省、国の方からラムサール条約事務局の方へ通知要請を行うというふうになっております。五番目に、その条約に該当したということをラムサール条約事務局の方で名簿に登載されると、このような手順になっております。  ラムサール条約に登録されますと、多くの特典が当然ございます。一つに、国内的、国際的においてその地域から情報発信ができ、そしてその地域をよく知っていただくことができるということであります。  そして二番目に、国際シンポジウム、そしてワークショップ開催、そして条約登録間における姉妹都市の提携などがあり、そして国際協力機構との連携のもと、あらゆる国際間の交流がなされるというふうにあります。  国内においては、ラムサール条約登録湿地関係市町村会議があり、そして地域レベルの環境保全活動が行われるというふうにございます。  このラムサール条約に規定されますと、新たな規制というのはありません。そして今までどおりその地域で産業を振興させることも可能であります。ただし、適切な自然、そして野生鳥獣との共生・共存を大切にしながら、保全管理により、生態系のバランスを目指すというふうになっております。皆さん何よりもその地域の誇りになるわけでありますし、また、国内外から外貨を獲得することができ、そして地域経済の活性化に寄与するものであります。  実は、奄美市住用町のマングローブの原生林でありますが、まさにこのラムサール条約の該当地との評価を受けております。  県は、現在進めております奄美群島の世界自然遺産登録への取り組みと、そしてその整合性をとりながら、住用のマングローブ湿地をラムサール条約湿地に指定できるよう地元の機運を盛り上げて推進する考えはないのかお示しいただきたいと思います。  次に、上水道の水質改善についてであります。  奄美群島の沖永良部、そして与論、喜界の島々は、この隆起サンゴの島で、地質的に琉球石灰質で覆われております。河川はほとんどなく、水道水はほとんど地下水でございます。このために上水道では、通常の浄水処置を超えたカルシウム分を含んでおり、硬水となっております。やかんの内側などに石灰の白い膜が目いっぱい張ったり、そして湯沸かし器の目詰まりなどが起きたりしております。そして人によっては、高額な軟水化装置を設置をしているなど、また、ミネラルウォーターの消費量が高く、島民の経済的圧迫にもなっております。  厚生労働省の補助事業では、この硬度の基準というのは、リッター当たり三百ミリグラム以上というふうになっております。ちなみに知名町の浄水場の最高値がリッター当たり三百九十ミリグラムでございまして、知名町には五つの浄水場がございますが、その平均がリッター当たり二百六十一・六ミリグラムであります。したがいまして、厚生労働省の補助事業の対象にはならないということであります。  これらの島々で暮らす人たちの中には、胆石や尿路結石、実は私も尿酪結石の持ち主でございますが、そういう方が非常に多いです。そしてこれは石灰質の多い水がその原因だろうというふうに専門家は分析をいたしております。住民の健康にかかわる重大な問題にもかかわらず、市町村とも厳しい上水道事業会計のため、単独での事業導入は困難であります。  このため、奄美群島の市町村においては、国庫補助事業を活用し、施設整備が行われたと聞いております。  そこでお尋ねをいたします。  硬度の高い浄水施設について、硬度低減化装置の整備状況と今後の見通しについてお示しいただきたいと思います。  次に、名瀬測候所の存続についてであります。  現在、気象庁においては、政府の進めている総人件費の改革、そして国の行政機関の定員の削減に伴って測候所の原則廃止が閣議決定されました。  昨年の十月でありますが、種子島測候所が廃止され、そして今月の六日には、屋久島と沖永良部の測候所が廃止という発表をいただきました。  台風常襲地帯で、奄美地域では、名瀬測候所と、そして廃止が決まりました沖永良部測候所にてこの測候の業務を行っております。奄美地域並びに県本土との防災対応に重要な役割を果たしてきております。  近年、政府指導のもと、天災や人災を問わず、被害を最小限に食いとめなければならないということで、危機管理の強化が進められております。中でも地域防災活動を推進する自治体にとりましては、安全・安心なまちづくりとともに自然災害への対応が危機管理対策の重要な柱となっております。  そこでお伺いをいたします。  沖永良部測候所廃止に伴い、名瀬測候所の役割はますます重要と考えられます。今後とも地域防災情報を的確に提供し、そして奄美地域の防災対応力を維持するために、名瀬測候所の存続に向けて県としてどのように取り組むのかお伺いをいたします。  これで二回目の質問とさせていただきます。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 21 ◯知事(伊藤祐一郎君)奄美群島の世界自然遺産登録についてのお尋ねであります。  奄美群島が世界自然遺産に登録されますためには、国立公園等の保護地域の指定が必要であります。このため、本年三月に環境省によりまして、奄美地域の自然資源の保全・活用に関する検討会が発足し、秋までにその基本的な考え方がまとめられ、その後、環境省におきまして、公園区域や公園計画の案が作成される予定であります。  世界自然遺産登録に向けましては、地元の方々の理解と協力が極めて重要でありますため、県ではこれまで一般の方々を対象にした公開講座やパンフレットの配布、小・中学校への学習教材の配布、観光関連事業者との意見交換などを実施してきているところであります。  今後とも大島支庁を中心に奄美群島広域事務組合等と連携をしながら、講座の開催や地域での説明会など普及啓発に取り組んでまいりたいと考えております。 22 ◯環境生活部長(高山大作君)住用のマングローブのラムサール条約についてでございます。  国際的に重要な湿地と、そこに生息生育する動植物の保全を図るラムサール条約湿地は、本県においては、平成十七年十一月に藺牟田池と屋久島永田浜が指定されております。  奄美群島につきましては、世界自然遺産登録に向けて現在、環境省や市町村等とも一体となって取り組んでいるところでございまして、まずは、世界自然遺産に登録するための国立公園等の保護地域の指定に向けて取り組んでまいりたいと考えております。 23 ◯保健福祉部長(岩重秀人君)沖永良部の上水道水質改善についてでございます。  奄美群島の浄水施設につきましては、これまで与論町上水道や喜界町東部地区簡易水道において国庫補助事業を活用して、電気透析法による硬度低減化を図ってきたところでございまして、平成二十年度からは、喜界町南部地区簡易水道において、晶析法及び電気透析法による硬度低減化施設の整備を進めているところでございます。  沖永良部の上水道の水質改善につきましては、現状では、採択基準上、国庫補助の導入は厳しいと考えられますが、県としましては、知名町における硬度による住民生活への影響等の調査結果を踏まえ、採択基準の緩和を国へ働きかけてまいりたいと考えております。 24 ◯危機管理局長(内門公孝君)名瀬測候所の存続についてでございますが、測候所につきましては、国の行政改革の一環として、平成十八年度から二十二年度までの五年間で、全国四十六カ所を原則廃止するという閣議決定がなされ、本県におきましては、平成二十年十月から屋久島、沖永良部の両測候所が廃止されることとされたところでございます。  残る名瀬測候所につきましては、奄美地域の警報や注意報を発表するなど台風常襲地帯である本県の防災対応上極めて重要な役割を果たしており、同測候所が廃止されることになりますと、南北六百キロメートルという広大なエリアに気象観測の空白が生じますことから、県開発促進協議会を初め、あらゆる機会をとらえてその存続を国に対し強く要請してまいりたいと考えております。    [き久伸一郎君登壇] 25 ◯き久伸一郎君 それぞれ御答弁をいただきました。  世界自然遺産登録とラムサール条約についてでございますが、この間、たしかNHKであったと思います。ユネスコの職員がインタビューの中で、世界遺産の上限枠を決めなければならないということを示唆いたしておりました。ぜひそこらの情報を早目にキャッチして対応をお願いしたいと同時に、並行して世界自然遺産登録へ向けてのスピードアップをお願いいたしたいと思います。  このラムサール条約は、私が調べた範囲の中でハードルが低いわけでありますので、先ほど高山環境生活部長は、国立公園にしてからというお話もございましたが、そこらとの整合性をもうちょっと調べていただいて、そしてラムサール条約に指定されますと、これは世界自然遺産登録への私は相乗効果になると、牽引き役になるというふうに解釈をいたしておりますので、ぜひそこらを調査して進めていただきたいというふうに御要望させていただきます。  そして、知名町の上水道の水質改善でございます。  確かに厚生労働省の基準では、リッター当たり三百ミリグラム以上というふうになっておりますが、実は、この水は先ほども言ったように人体に害を及ぼしているわけです。これを極端に表現しますと、有害水を飲んでいるのではないかなという極論にも当たるのではないかなと私は解釈をいたします。  したがいまして、制度上の問題は当然ありますが、もうちょっと弾力性をもたせたというか、そういう見解のもとで国の方へ要望していただくように強く御希望をさせていただきます。  そして、名瀬測候所の存続についてでありますが、残念なことに沖永良部の測候所が六日に廃止になりました。そうしますと、地球温暖化で地域の気候は天地異変にさらになっていくのではないかなと思います。  したがいまして、名瀬測候所の重要的役割というのは、まだ増していくというふうに考えられますので、県の方からまた国の方への地域的事情というものを含めて要望をお願いいたしたいと思います。  皆さん、私、県政へ選出をさせていただきましてちょうど一年が経過いたしました。そしてこの一年を振り返ってみますと、経済が右肩上がりの時代に比べて県政全般、そして地域からの要望、陳情の解決のハードルが非常に高いということを実感的に受けとめさせていただきました。  大島郡区というところは、有人離島八つ、そして飛行場五つ、人口六万七千五百二十五名であります。各島々を回って視察調査をして地元の方たちと意見交換を行う。これ一周するのに二週間ほどかかりました。地理的、交流的ハンディはあったとしましても、やはり民意をいかに県政に反映させていくかということで、今後もさらに頑張らせていただきたいと思いますので、御指導をお願いいたします。  そして、伊藤知事におかれましては、二期目を目指し再始動ということで前回並みの戦闘モードとはいかないというふうに思いますが、エンジンアップのことと思います。  この間、地元紙に「感情を抑えて名より実」という表現がございました。県政の改革の本丸は当然行財政改革でありますが、これはちまたでの話です。伊藤知事は、自分のカラーを出し切ってないのではないかなという話が私の耳に聞こえてきました。ちょっと慎重過ぎるんではありませんかということでありましたが、慎重にならざるを得ない、そのような一期目であったと思いますが、二期目は、知事の潜在的能力をフルに回転させて県政のリードをとっていただきたい、このように御祈念をさせていただきまして、一般質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。(拍手) 26 ◯議長(金子万寿夫君)ここで、休憩いたします。  再開は、午後一時十五分といたします。        午前十一時五十五分休憩       ─────────────        午後 一時 十五分再開 27 ◯議長(金子万寿夫君)再開いたします。  鶴田志郎君に発言を許可いたします。    [鶴田志郎君登壇](拍手) 28 ◯鶴田志郎君 自由民主党の鶴田志郎であります。  先ほどの昼のニュースを見ておりますと、午後、参議院で史上初めて内閣総理大臣に対する問責決議案が可決される見込みであると言っておりました。  今国会も会期末を迎え、与野党の攻防が一つの山場を迎えたのかなと、そんな印象でありますけれども、このところの国会の状況を見ておりますと、日銀の総裁人事や道路特定財源の問題など国の経済や国民の生活に直轄する法案を人質にとって揺さぶりをかけるというような国民を無視した国会の様子を見ておりまして、釈然としないものが残ります。ちゃんと話し合いのテーブルに着いて議論を尽くし、議決していくというのが議会のあり方なのではないでしょうか。  道路特定財源につきましても、ことしの二月に参加した道路特定財源堅持の全国大会では、石原東京都知事が駆けつけて、慢性的な渋滞を解消するなど東京の道路を充実するためにもこの財源の堅持を訴えていましたから、都市や地方を問わず必要なものは必要なのであります。  結局、衆議院の議決が優先をされ、決定をしたわけでありますが、道路特定財源を一般財源化するというおまけがつきました。このことは、「これまでのように道路建設を進めていくのは難しいですよ」というようなことを宣言をされたようで、いささか納得しがたいものがあります。そして、地方を取り巻く状況が依然厳しい中、その先行きに不安を抱くのであります。  先日の新聞にも景気がいよいよ下降局面に入ってきたと載っておりました。  ここ数年の我が国の好景気は、御承知のようにアメリカの好調な景気に支えられてきたわけですが、サブプライムローンの問題が世界に波及をし、しかも底が見えないということで景気の減速が顕著になってきたのであります。
     地方におきましては、好景気の影響は都市部と比べ数年おくれてあらわれるということでありますが、我が県においては、波及する前にしぼんでいくのかという失望感にさいなまれるのであります。  また、原油の高騰に端を発した諸物価の高騰は、県民にとってなかなか年収の上がらない中で、デフレで物価が上がらない状況が続き、可処分所得が逆に稼げるということでありましたけれども、ガソリンを初め食料や生活関連物資の軒並みの値上げで、経済的にさらに厳しくなることは間違いないと思います。  最近、農業に従事する方と話をすると、肥育農家では、飼料代が以前の倍近くに上がり、素牛の導入を減らして飼料代に充当せざるを得ないとか、施設園芸におきましても重油代が急激に値上がりをしているので、ボイラーの稼働率を下げたいけれども、出荷時期がおくれ、高値出荷ができないとか、出荷量が減少するので油をたかざるを得ず、何のために農業をしているのかわからないというようなことも聞いております。  既にさまざまな対策が取り組まれつつありますが、効率化やコストの吸収も限界を超えておりますから、適正な価格への転嫁の仕組みを消費者の皆様方の理解のもと、実施するべきだと考えます。  このような状況の中、最も厳しいと言われる限界集落の支援策について、まず、質問をいたします。  集落の機能の維持・存続が危ぶまれる限界集落への支援が取り組まれつつあります。昭和三十年前後に人口のピークを迎え、その後五十年近くにわたり、若者を中心に人口の流出が続き、ここに来て残された住民も高齢化し、このような状況を迎えているのであります。  この状況は、決して中山間地域だけに限らず、市街地までそう遠くないところでも同様の状況が見られます。社会基盤が整ってきて、昔と比べると地域間の移動が楽になっているにもかかわらず、役場や商店街が近いところに住むことでより一層便利な生活を求め、医療機関へのアクセスがよいという理由で市街地への移住が進むのは、ある意味では自然なことであります。  これまで限界集落と言われる地域におきましても、農林水産業により一定の所得が確保できておりました。しかしながら、例えば内之浦のキヌサヤエンドウなどは、家族労働に支えられ、一時期は日本有数の産地となっておりましたが、外国産のものに太刀打ちできなくなり、淘汰をされてしまいました。  林業も木材やパルプなどの生産で山間地域の雇用が確保されてきましたが、やはり外国産のものに押され、厳しい状況が続いて久しいのであります。  また、地域雇用の場として公共事業が大きな役割を果たしてまいりましたが、財政改革でこれまでのような地域経済の推進役としての役割が期待できず、限界集落に対する状況は日に日に厳しさが増している状況であります。  このような中、鹿児島県集落状況調査の結果が発表されました。  内容の主なものでは、高齢化率が五〇%を超える集落数が最も多い地域は大隅で、その数は三百五集落となっております。人口規模の少ない集落ほど機能の維持が難しくなるということでありますが、住民が五十人以下の集落が最も多いのも大隅で、全体の約三割に上るのであります。  今後十年の間に消滅の可能性のある集落は、県全体で四十五集落に上ると予測をされており、さまざまな対策を講じながら限界集落でも安心して暮らすことのできる政策に取り組むべきであります。  ここで、南大隅町が本年四月末の住民台帳をもとに、役場の全職員がそれぞれ現地に赴いて実態調査をした貴重なデータがありますので、若干御披露を申し上げます。  南大隅町全体では、限界集落率が三五・五%、このうち佐多地区ではその率が五三・三%で、六十歳以上の方が五〇%を超える。これを直前限界集落と言うのでありますが、これを入れると何と全体の七一・一%となっております。  高齢化率におきましても、佐多地区は五〇・七%と県内でも一番高く、いよいよ五割を超して二人に一人が高齢者という状況になっております。  南大隅町の戦後人口の推移を見てみますと、ピークが昭和三十年前後で、人口が二万四千人程度で推移をしております。高度成長期の昭和三十五年ころから毎年五百人前後の人口減少が続き、昭和四十年から四十五年の五年間で約三千五百人の減少を見ております。最近の動向では、自然減が約百二十人、転出などの社会的な減少が百二十人で、合わせて二百四十人の減少となっております。  また、興味深いのは、人口と普通交付税の関係で、人口が二百人減少すると普通交付税が三千万円減ることになり、十年後に二千人減ると過程をすると、何と十六億五千万円の減額となる計算であります。  したがって、財政が厳しくなっていく中で効率の低い行政運営が強いられ、限界自治体への転落が目前に迫っているのであります。  限界集落の持つ課題としては、耕作放棄地の増加、空き家の増加、森林の荒廃、ごみの不法投棄、獣害、病害虫の発生などが指摘されておりますが、何よりも住民の医療・福祉対策や災害時の対応のおくれなど取り組むべき課題が多いのであります。  本議会での知事の提案理由の説明の中でも支援への具体的な対策が必要と述べられておりますし、国におきましても「新たな公」によるコミュニティ創生支援モデル事業や集落活性化推進事業、集落支援員の設置などの事業が新規に取り組まれつつあります。  そこで、中山間地や離島の多い我が県において、今後、限界集落の支援にどのように取り組んでいかれるのか教えてください。  次に、国からの補助金を活用した施設、設備等が市町村合併や学校の統廃合などで不要となったため、当初の目的とは別の用途に活用する場合、補助金適正化法に基づき手続を進める中で、事務が複雑だったり補助金を返還する必要があったりということがあり、貴重な公共財産が活用されないまま放置されている状況があります。  特に最近の急激な過疎化、少子高齢化、市町村合併の進展などの社会情勢の大きな変化もあり、各地で公共施設が本来の目的では使用されなくなり、維持管理費もかかるため、地域のお荷物として放置されているのが散見をされます。  例えば平成十四年に廃校となった南大隅高校佐多分校は、跡地利用について地元と協議中ということで、既に七年が経過をしております。生徒数の減少や高校再編の流れの中で、現在、生徒のいなくなった高校は、笠沙高校、阿久根高校、長島高校、徳之島農高などがありますが、その利活用が地域の大きな課題となっております。  学校は教室ばかりでなく、プールや体育館、武道館などから教職員住宅に至るまで利用が多岐にわたるものがあり、それぞれ細かい対応が必要であります。  また、生徒数減少による空き教室につきましても、運営上難しいのかもしれませんが、例えば老人の憩いの施設として、児童との交流の場にすることで新たな地域コミュニティが創造された例もあると聞いております。  中学校で廃校になった空き教室の活用状況を見てみますと、南大隅町では、根占地区で平成十四年に三校あった中学校が根占中学校一校に統合をされました。新校舎が建設されたため、旧根占中の校舎は、平成十六年度から国民保険事業の「生き生きサロン根占館」として活用、旧滑川中学校は、平成十八年度から「半島特定地域元気おこし事業」で宿泊及び多目的利用施設に改修をされ、近くに県内唯一の自転車競技場もあることから、スポーツ合宿や宿泊学習に活用をされております。  登尾中学校は、残念ながら未活用であります。また、錦江町では、今年度より四校あった中学が錦江中学校に統合され、廃校になった三校の有効活用につきましては、現在廃校を抱えることになった地域に向けて、その活用策の提案を受け付けているということであります。  そこでお伺いしますが、補助対象財産の有効活用策として地域再生計画の活用が考えられると思いますが、その制度の内容と具体的事例、今後の県の取り組みについて教えてください。  次に、去る五月に導入されたふるさと納税についてお伺いをいたします。  これは、納税者がみずからの意思で居住地以外の地域に寄附するという制度で、財政厳しい地方の新たな歳入確保対策として注目をされております。我が県におきましても早速知事の陣頭指揮のもと、「かごしま応援寄附金」という名称で取り組みが始まっております。  この制度に対する知事の基本的な考え方は、我が党の代表質問でも示されましたが、昨年、第二回定例会の私の一般質問に対する答弁で、都市と地方との税収格差の是正を図るという点では、負担分任の原則や税収の不安定性などの面で課題が残るとの答弁をいただきました。  私は、地方税収がふえることには大賛成でありますが、いささか憂慮するところもあります。  平成二十年度の税制改正で地方法人特別税と地方法人特別譲与税が創設をされ、法人事業税収の集中する都市から地方への法人事業税収の移しかえが行われることになりました。  平成二十年度は、平準化するまでのつなぎの措置として、地方再生対策費が全国で四千億円計上され、このうち本県分は三十八億円、市町村で六十四億円が配分の見込みとなっております。  しかしながら、三位一体改革で消えた鹿児島県分の三百十五億円の交付税の額からすると、約二百七十七億円足らないわけですし、ふるさと納税でこれを解消されるとはとても思えないのであります。  昨年の地方六団体の決議におきましても、地方自治の確立のための税源の確保の中で、国税と地方税の税源配分を五対五とするべきで、そのためには地方消費税の充実に取り組むべきだとしております。  ふるさと納税の取り組みに水を差すわけではありませんが、地方の慢性的な財源不足を解消する対策にはなり得ないと思いますので、県民の皆様がこの制度への取り組みで県財政が著しく改善されるかのような認識を持つことのないよう御理解をいただきたいのであります。  ましてや依然として厳しい行財政改革に取り組んでいく中、その手綱が緩むことのないようにしていかなければなりません。  以上のような認識のもと、これまでの質問と重複しない形で幾つかお伺いをいたします。  確かに地方税として見た場合、居住地の自治体に対してはふるさと納税をした人はしない人より納税が少なくなり、受けるサービスは一緒だが納税が少ないということになります。そうすると、県内でも鹿児島市や鹿屋市などの都市部で不公平感が出てくるおそれがあります。  そこでお伺いしますが、このような制度上の課題をどのように認識し、現実的にどのようなことが予測をされるのか。また、その影響についてどうお考えかお伺いをいたします。  次に、税収確保に対する全国的な獲得競争とも言うべき動きが始まっております。この制度の導入以前にも既に寄附への取り組みをしている事例を見てみますと、奈良県では、県外在住者が五千円以上寄附した場合には大和茶などの県産品を、五万円以上の寄附者には黒米カレーセットなどの「奈良のうまいもの」セットが送られるそうであります。  また、山口県の萩市では、市外在住者が一万円以上寄附した場合、夏ミカンや萩焼など九つの特産品の中から一品が送られるそうであります。これが助長されますと、サービス合戦が過熱をし、コストの割に税収が上がらないという状況も考えられます。  そこで、この点についての我が県の対策をどうお考えかお伺いをいたします。  また、市町村とかごしま応援寄附金募集推進協議会を結成をしたと聞きましたが、そのときの協議会での市町村の反応はどうだったのかお伺いをいたします。 29 ◯企画部長(山田裕章君)いわゆる限界集落への今後の取り組みについてでありますが、人口減少や高齢化の進展等に伴い、機能維持が困難な集落の問題が顕在化しており、こうした集落におきましては、日常生活に関する機能の低下や耕作放棄地の増加などさまざまな課題を抱えております。  このような中、国におきましては、NPOと市町村との協働による取り組みを促進するため、新たな公によるコミュニティ創生支援モデル事業を実施することとしており、県内におきましてもNPOと南大隅町が協同して行います集落環境データマップ作成など八件の応募がなされるなど各地で集落活性化等の取り組みがなされております。  県といたしましてもこれまで高齢者等くらし安心ネットワーク事業、農地・水・環境保全向上対策など集落対策に密接に関連する施策を実施してきたところでございますが、引き続き各分野との連携を図りながら、地域の実情に即した効果的な対策の検討を行いますとともに、市町村の取り組みを促進するための技術的助言等を行ってまいりたいと考えております。  補助対象財産の有効活用についてでありますが、地域再生法におきまして、地方公共団体が地域再生計画を定め、国の認定を受けることによりまして、いわゆる補助金等適正化法に係る財産処分の承認を得ることなく、同計画への支援措置として、補助対象財産を目的外に転用できる特例が設けられております。  現在、県内ではこの転用特例の適用を受けた事例として、中種子町や南種子町において中学校を障害者福祉サービス施設や介護支援施設等に転用した事例、与論町におきまして診療所を鹿児島大学の研究施設に転用した事例など五つの事例がございます。  県といたしましては、今後ともこの制度の活用によって、補助対象財産の有効活用が図られますよう市町村への同制度の周知や情報提供などに努めてまいりたいと考えております。 30 ◯総務部長(篠原俊博君)ふるさと納税制度のいわゆる住民間の公平性の問題につきましては、昨年十月に取りまとめられました総務省のふるさと納税研究会の報告書におきまして、この論点は、税制上、何らかの特別な措置を創設する場合には常に問題となり得るものであるが、政策の合理性等を勘案し、公平性の侵害の程度が一定の範囲内であれば許容され得るものとして整理されたところであります。  これを踏まえまして、今回のふるさと納税に係る寄附金税制の拡充におきましては、税額控除の上限額として、寄附金額のうちおおむね個人住民税所得割の額の一割を控除の限度額にとどめているところでありまして、住民間の公平性に配慮がなされているものと考えております。  お礼の品についてでございますが、御指摘のとおりふるさと納税の募集の一環といたしまして、寄附をいただいた方に地元産品等の贈与等を行うことにつきましては、コストがかかるという面もあるものの各県のさまざまな動きがあるところであります。  このことにつきましては、寄附をしていただいた方に対する感謝の気持ちをあらわすとともに、地元産品に愛着を持っていただく機会として期待できること、市町村からも特産品等の贈与を行いたいという意見もあること等を踏まえまして、本県といたしましても今後市町村と協議をいたしまして、具体の対応を検討したいと考えております。  協議会における市町村の意見についてでございますが、かごしま応援寄附金募集推進協議会の設立に当たりましては、ふるさと納税に関する規定を含む税制関連法案が再議決により成立をした直後から市町村と具体的な調整を行ってきたところでありますが、去る五月二十九日に協議会総会を開催し、協議会規約や活動方針の決定と意見交換を行ったところであります。  その中におきましては、「市町村においては、県外のふるさとの会と密接な関係が続いており、協議会と両方の体制で進めていけばいいのではないか」との意見や、「名古屋地区の体制を充実してほしい」との意見のほか、「県が募集していただくのはありがたいものの本来は市町村が頑張るということが制度の趣旨ではないかと考えたが、一体として取り組むことは意義があるものと思う」などの意見が出されたところであります。  いずれにいたしましても最終的にはすべての市町村が協議会として一体となってかごしま応援寄附金の募集に取り組むこととされたところであります。    [鶴田志郎君登壇] 31 ◯鶴田志郎君 それぞれ御答弁をいただきました。  限界集落に対する具体的な状況を一つ申し上げたいと思います。  実は、私の町肝付町に大浦という集落がありますが、ここは一番近い岸良の街まで約一時間弱、肝付町の役場まで一時間半のところにあり、平家の落人集落と言われる歴史があります。  ここは、平成二年まで小学校があり、林業とキヌサヤエンドウの栽培が盛んなところでした。現在では人口三十三人で、集落の振興会長の白坂義信さんは、六十五歳でこの集落の運営の中心的な立場であります。  先日、立ち寄ってみますと、中山間地域等直接支払制度の活用で美しい棚田の景観がよみがえっておりました。白坂さんは、振興会長であり、消防団員であり、交通安全協会の役員であり、民生委員も務めております。このほか一人で幾つもの役を引き受けておりますが、日ごろは近くの町に出るついでと言いながら、集落内の高齢者の買い物から農産物の出荷まで引き受けており、集落にはなくてはならない人であります。  医療の面では、岸良の診療所に週に一回医師が来たときにまとめて診てもらうということで、うっかり病気もできない状況であります。  また、急患や災害時の対応が心配されるため、訓練として県の防災ヘリに来てもらったのですが、着陸ができないので、緊急の場合には人をつり上げて対応するということになりました。  本年度より肝付町は、このような集落に住民票の配達を始めましたが、このような地域の元気なお年寄りへの生活支援については、公の部分でないと支えられない状態が来ております。これは、特に厳しい地域の例でありますが、離島を含め、このような地域が他県と比べ多いのが我が県の特性でありますから、限界集落への支援の充実にお取り組みいただきますようによろしくお願いをいたします。  また、補助対象施設の有効活用につきましては、地域再生計画の中で取り組まれていくわけでありますが、市町村が国と直接やりとりをするため、その実態把握が難しい状況にあるように思われます。  また、この質問の準備を進める上で遊休施設の定義や考え方などを整理する必要も感じたのでありますが、当初の計画より利用率が低い施設も散見をされる中、市町村を越えた活用の仕方や思い切った用途の変更などが必要な施設もあると思います。そのような場合、地域から有効活用の案を募集するという手段を用いているところが多いわけでありますが、なかなかよい活用策が地域から出てこないというジレンマがあるようであります。権限移譲を進める時代ですから、このことに県が過度にかかわる必要はないかもしれませんが、活用事例の情報の共有であるとか、広域的な利用に対する調整など県が力を奮えるところもあると思いますので、共生協働の取り組みの中などで補助対象施設に対する有効活用の取り組みをお願いしたいと思います。  また、ふるさと納税についてでありますが、昨年、十島村に視察に行った座談会の席で、ふるさと納税に関する意見が出されました。このときに思ったのが、この仕組みに対する期待の大きさであります。自分のふるさと、または思い入れの深い場所にみずからの意思で寄附をするというのは、納税者にとっても納税意欲をかき立てられるすばらしい試みだと思います。  しかしながら、寄附の勧誘合戦がエスカレートをすると、コストはかさむし、納税者は嫌気が差すということも考えられますので、ひとまず県での一括管理はよいことと思われます。使途も人材育成や医療・福祉などに活用するということで、寄附者がわかりやすく納得のいくような公表の仕方を考えていただきたいと思います。  また、繰り返しになりますが、この制度の導入で県の財政が十分に潤うことは考えられませんから、知事がかねてから言われております抜本改革への取り組みの手綱は、決して緩めないようによろしくお願いをいたします。  さて、宇宙開発の促進への取り組みについてお伺いをいたします。  これまでの我が国における宇宙開発の歴史を振り返りますと、一九五五年にペンシルロケットが打ち上げられて以降、一九七〇年に内之浦から人工衛星「おおすみ」が打ち上げられ、世界で四番目に人工衛星を上げた国となりました。  そして、ことしの二月には、種子島からH2Aロケット十四号機が打ち上げられております。  この間、内之浦で三百九十一機、種子島で百四十二機の打ち上げ実績があり、これまで培われた技術は世界でもトップレベルの水準にあります。  そして、宇宙開発にさらに効率よく取り組むべく、二〇〇三年に宇宙科学研究所、航空宇宙技術研究所、宇宙開発事業団の三機関が統合され、独立行政法人宇宙航空研究開発機構、いわゆるJAXAが発足をいたしました。  この間、我が県が果たしてきた役割は大変大きなものがありますが、新型ロケットの開発や商業衛星の受注競争への参入などロケットの打ち上げが過渡期にある中で、新たなる協力体制の確立が求められていると思います。  一方、世界に目を向けますと、これまで宇宙開発をリードしてきたアメリカ、ロシア、欧州に加え、中国、インドが台頭してくるなど宇宙開発、また商業衛星の打ち上げなどの受注競争が激しくなってきております。  しかしながら、我が国では、発足直後の打ち上げ失敗や衛星のトラブルなどによる計画のおくれ、打ち上げ民営化後も外国からの衛星打ち上げの受注実績がないなど厳しい実情が伝えられております。  そのような中、去る五月二十一日に国会におきまして宇宙基本法が制定をされました。これは、日本の宇宙開発の方向性を示す初めての法律と言ってもよいものであります。  そして、我が国で唯一、二カ所のロケット発射場を持つ鹿児島県では、かねてより宇宙開発の促進が県勢の発展につながっていくということで取り組んでおりますので、宇宙基本法の制定をさらなる取り組みへの契機として活用していかなければならないと思います。  この法律の基本理念は、研究開発中心の宇宙開発のあり方を見直し、「総合的な安全保障」「産業振興」「研究開発」の三つを柱として、相互のバランスをよく考えながら取り組んでいくと述べられております。  そして、宇宙開発にかかわる基本構想、必要な調査審議体制の明確化、官民協力体制の確立などを盛り込んだ宇宙基本計画を策定することとしております。  そして、総理大臣を本部長とした宇宙政策全体を統括する「宇宙開発戦略本部」を内閣に設置する予定となっております。  今後、このような体制のもと、国の安心安全な体制、国際協力、外交への活用に資するため、打ち上げ能力の確保、国内産業の技術力の向上、資金調達の円滑化、学術研究の奨励など幅広い施策が実施されることと思われます。  これまで宇宙開発に最も協力をしてきたと言っても過言でない我が県といたしましては、この法律の中に今後の宇宙開発のあるべき姿として、国と地域等との連携や関連産業の育成などが盛り込まれていることを踏まえ、県勢の発展のためにも積極的に取り組むべきと思います。  そこで、宇宙基本法をどう評価するのか。また、今後策定される宇宙基本計画に我が県のこれまでの実績が生かされるように国への働きかけが必要と考えますが、その取り組みに対するお考えをお示しください。  次に、昨年の十二月末に福岡の生協より、東串良産のカラーピーマンから国内で登録のない農薬成分が検出されたとの連絡が東串良町園芸振興会に入りました。  自主検査をしたところ、二〇〇四年から使用を禁止されていたピペロニルブトキシドが検出され、食べても害がないと認められた基準値内であったにもかかわらず、生産者団体は出荷自粛を決定し、同時に既に出荷したものについては回収をするということになりました。  また、二月末には、JA種子屋久くまげ地区本部のスナップエンドウより残留基準値を超える農薬成分が検出され、やはり出荷停止を実施し、既に出荷済みのものを自主回収する事態となっております。  スナップエンドウの件は、二〇〇六年にポジティブリスト制度が施行されて以来、県内農産物から基準値を超える農薬が検出されたのは初めてのことであります。  この二つの事案により、食料を生産する上で農薬などの資材の適正使用がいかに重要か、また、その安全管理を生産者の皆様方一人一人が真剣に取り組むことがいかに重要かということを深く認識することになりました。  しかしながら、内容を検証をしてみますと、まず、カラーピーマンの場合では、農薬を使用したのではなく、農業資材として位置づけられている土壌活性剤を使用したにもかかわらず、その中に農薬の成分が入っていたことが原因であります。  スナップエンドウにつきましては、守るべき希釈基準を超えた農薬を散布したのが原因ということですから、これまで取り組んできた農家への啓発活動や生産団体での相互チェック体制のさらなる充実が求められると考えられます。  そこでお伺いしますが、このたびの二つの事案に対し、県はどのように対応してきたのか教えてください。  また、このことを踏まえて、今後の取り組むべき課題と対策をどのように講じていくのか教えていただきたいと思います。  次に、このような事態が起こったときにいかに速やかに事態に対処し収拾をするか、いわゆるリスクマネジメントが重要であります。
     今回の場合も生産者団体が緊急で会員を招集し、その対応を協議したのでありますが、東串良の場合では、基準値内であれば出荷停止をする必要はないのではないかとか、停止をするとその間の販売に対する保証はどうするのかということが提起をされ、取りまとめるのが非常に難しい局面があったと聞いております。  同時に品薄で最高値の時期でありましたから、卸業者や市場から出荷できないことに対する苦情や批判が聞こえてくるため、出荷先に対する速やかな対応が必要であったと聞いております。  また、風評被害が起きないよういかにマスコミや消費者の皆さんにわかりやすく説明をし、御理解をいただく対応ができるかという難しい問題もあったのであります。  その他、同時多発的に起こる多くの問題に対する解決や対応を即座に迫られるのであります。  今回は、県を代表するブランド作物であり、かごしまの農林水産物認証第一号という自信と誇りのもと、一致団結して事に当たったおかげで、信用を損ねることなく、出荷再開時にはこれまで同様の高値で取引が始まりました。  そこでお伺いいたしますが、このような事態に対応するためのリスクマネジメントが必要と思われますが、このことについてのお考えを教えてください。  次に、このたびの地方分権改革推進委員会より出された答申の中で、直轄国道と一級河川について県に移管するという勧告が出されました。  一級河川につきましては、平成十一年ごろにも同様の案が出され、私も先輩議員とともに国に反対の旨の要望に行ってまいりましたが、県財政も非常に厳しい中、現在、国で行っている国道や河川の維持管理をそのまま県に移管するとなると、財政の面からも技術者を初め人材確保の問題などで整備の進捗がおくれる懸念が出てきております。  そして、災害常襲県で整備箇所も多い我が県におきましては、県民の生活に悪影響を及ぼすことは間違いないと思われます。  県内の国道につきましては、鹿児島国道事務所と大隅河川国道事務所で管理をしており、合わせて七本の一般国道、総延長約四百キロを平成二十年度予算で約二百二十億円かけて維持管理されております。  国道は生活や産業を支える大動脈であります。私も本年三月に完成した牛根大橋の工事を見学いたしましたが、橋梁を大型クレーン船で設置する様子などは、費用とそれを支える技術など国が取り組むべき事業であることは間違いないと思います。  この橋は総工費約二百二十億円で、連続雨量百五十ミリを超えると通行どめとなっていた国道二百二十号の利便性の向上に大きな貢献をしておりますが、直轄国道におきましては、今後も整備・改修が待たれる箇所も多いと聞いております。  このような状況の中で県に移管されるとなると、整備の進捗などに大きな懸念が生じると思います。  そこで、現在国で取り組んでいる直轄国道の主な事業にはどのようなものがあり、それが県に移管されるとどのような問題が起こるのか御意見をお聞かせください。  また、河川につきましては、川内川と肝属川の二つの河川が一級河川として直轄管理されております。このたびの答申を見てみますと、一つの都道府県内を流れる五十三水系と、府県境をわずかに超える十二水系について管理の移譲を行うとされております。  したがって、肝属川がこの中に入ってくることが予測をされるわけですが、水害を繰り返してきた肝属川の管理を県に移譲することに対しましては、断固反対するものであります。  肝属川の管理の歴史は、県において大正八年に河川法準用河川として指定をし、昭和三年に当時の内務省により、鹿児島県の要望を受けた形で河川法施行河川として、その支川十河川も含めて認定を受け、このとき以来、肝属川は国の直轄管理となっております。  その後、整備に取り組んできたにもかかわらず、たびたび水害を繰り返し、昭和十三年の大水害では、死者・行方不明者二百五十九名を出し、被害総額は現在の価値に換算すると三十九億円に達するという未曾有の災害となったのであります。  平成九年の台風十九号のときには、床上浸水百五十四戸、床下浸水七百五十六戸を初め、住民の財産に甚大な被害をもたらしました。  平成十七年の台風による水害では、床上浸水七十五戸、床下浸水三百七十三戸の被害を出し、人災はありませんでしたが、急激な増水に畜舎の牛を助ける暇がなく、牛がおぼれ死ぬという事態も発生をしております。  肝属川は、長さにおいては県内五番目でありますが、流域面積においては県内二番目の広さを誇り、多量の雨が降ると急激に水かさが増すという特性を持っております。  また、堤防もシラス堤でありますから、一たん崩れ出すと非常にもろい構造となっております。  肝属川は、たび重なる洪水の歴史を持ち、護岸がシラス土壌で崩落しやすい上、台風常襲地帯の中にあって、降水量においても東京の一・五倍という気象条件がありますので、全国一律の机上の計算だけでその整備にめどをつけるというのは、地方の切り捨てと言わざるを得ません。  現在の管理は、国土交通省大隅河川国道工事事務所において、現場を常時三十名程度の人員で管理し、財政的には年間約十二億円程度の予算が組み込まれております。これをすべて移管していくというのは、背負い切れない負担を地方に押しつけることであり、地域住民のたび重なる災害への不安を思うとき、今後とも無責任な対応は断じて承服できないのであります。  そこでお伺いいたしますが、肝属川の管理に対する考え方、今後の整備に対する課題と県に移管されることによりどのような問題が生じるのか、その見解をお伺いいたします。  また、今後、県として直轄国道、一級河川の県への管理の移譲をするという動きに対してどのように対応されるのか、あわせてお尋ねをいたします。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 32 ◯知事(伊藤祐一郎君)宇宙基本法への評価と県の取り組みについてのお尋ねがありました。  去る五月二十一日に成立いたしました宇宙基本法におきましては、国家戦略として宇宙開発に取り組むことが示されますとともに、御指摘のありましたように宇宙の平和的利用、国民生活の向上、産業の振興などに資するために宇宙開発を推進していくこととされているところであります。  今回の宇宙基本法の成立により、我が国の宇宙開発の長期的かつ安定的な推進が図られることが期待されるところであります。  また、今後、宇宙基本法に基づきまして、宇宙開発に関する基本的方針や政府が実施すべき施策を定めます宇宙基本計画の策定や関連法制の整備、実施体制の整備が進められると聞いております。  県といたしましては、ロケット打ち上げ基地を有する内之浦、種子島両地域の振興が図られますよう、打ち上げ施設の整備充実や利用の促進、航空宇宙関連産業の立地の促進等につきまして、今後とも引き続き県開発促進協議会や県宇宙開発促進協議会等あらゆる機会をとらえまして、国や関係機関に対して強く要望してまいりたいと考えております。 33 ◯農政部長(弓指博昭君)県内で起こりました二件の農薬事故に対する県の対応についてお尋ねがございました。  我が国の食料供給基地としての役割を担います本県におきましては、食の安心・安全の確保は最も基本的な課題でございます。  このため、県では、今回の事案等踏まえまして、カラーピーマン等の出荷自粛や停止に至った経緯と原因などを検証し、二度とこのようなことが起こらないよう、農業団体や市町村などに対して適正な農薬使用の指導徹底を通知いたしますとともに、生産者などにリーフレットを配布し、土壌活性剤等資材を使用する際の注意を喚起したところでございます。  また、国に対しては、土壌活性剤等資材の使用に当たりまして、生産者が意図しない農薬成分の混入を防止するための制度を創設するよう要望しているところでございます。  こうした取り組みを受けまして、産地や農業団体等の中には、自主的に研修会等を開催され、安心・安全な農産物生産への取り組みを再確認する動きも見られるところでございます。  県といたしましては、今後とも関係機関・団体と連携しながら、農薬や土壌活性剤等資材の適正使用に関する指導を徹底してまいりたいと考えております。  それから、農薬事故に対応するためのリスクマネジメントについてでございますが、県では、県農薬飛散防止対策指導指針や県産農産物のポジティブリスト制度に係る対応指針を定め、関係機関・団体が一体となりまして適正な農薬使用の指導等を行います組織を県及び地域段階に整備しておりますほか、万が一の事故に備えまして、事故後の原因究明を初め、再発防止や風評被害対策を迅速に講じるために必要な手順などを示しておるとところでございます。  これらに基づいた対応として、今回のスナップエンドウの事案を例に申し上げますと、事故の報告を受けたその日のうちに関係者による対策会議を開催いたしまして、産地、流通、消費の各段階ごとにきめ細かく対応するよう指導したところでございます。  その結果、出荷再開までの間、市場や消費者などに特に目立った混乱はなかったものと考えております。  今後とも産地などと一体となりまして、農薬事故の未然防止施策に万全を尽くしますとともに、万が一事故が発生した場合には、迅速かつ的確に対応してまいりたいと考えております。 34 ◯土木部長(河瀬芳邦君)直轄国道、一級河川の移管による問題点と対応についてでございます。  直轄国道、一級河川につきましては、地方分権改革推進委員会の第一次勧告によりまして、主に地域内交通を分担する国道や一つの都道府県内で完結する一級水系のうち一級河川につきましては、都道府県に移管を進めるべきとされたところでございます。  現在、国により管理整備されています国道につきましては、国道二百二十号鹿屋バイパス、国道二百二十五号川辺改良及び国道二百二十六号平川道路など大規模な改築事業や橋梁の耐震対策、道路のり面の防災対策事業の外七路線の維持管理を行っているところであります。  肝属川につきましては、鹿屋市街地を流れます支川下谷川の河川改修事業などを行っているところでありますが、肝属川の堤防はシラスでつくられた堤防のため、破堤などの災害を受けやすく、また、整備区間が残っており、はんらんした場合には甚大な被害が想定されていることから、国においてきめ細かな管理をされることが必要であると考えるところであります。  移管がなされます個別の対象につきましては、具体の案が示されていないところでありますが、直轄国道の一部と肝属川が県に移管された場合、未整備区間が多いことや本県が災害を受けやすい条件下にあることなどから、財源などの確保のみならず、災害時を含めた新たな制度の整備も必要であると考えております。  移管に当たりましては、本県の地域特性を十分配慮していただき、管理に多大な労を要する未整備区間の解消や財源確保などがなされるよう国に強く要請してまいりたいと考えております。    [鶴田志郎君登壇] 35 ◯鶴田志郎君 それぞれ御答弁をいただきました。  このたびの宇宙基本法の施行は、我が国の宇宙開発を安定的に促進していく上で大変有意義な法律と期待をしております。というのも一機数百億と言われる開発費のため、打ち上げ失敗が続いたときにはその後の開発を問い直す声も聞かれましたので、宇宙開発に対する国の姿勢をしっかりと位置づけ、財政的な裏づけをしていくことが保証されるからであります。  しかも宇宙開発の途上で生み出される技術は貴重なもので、我々の生活にも多くの果実を与えてくれます。  例えば、ロケットの表面に使われている強度にすぐれ、かつ高熱に耐え得る傾斜機能材料と言うんだそうですけれども、電気ひげそりの刃や腕時計の部品に使われております。農業の分野では、資源探査を目的とした地球観測衛星の技術が果実の糖度や酸味を表面を切らないではかるというような技術につながっておりますし、医療の分野では、現在建設をされております宇宙ステーション「きぼう」の中で活用される予定の小型カメラが、カプセル型胃カメラとして開発され、一日も早い活用が望まれているということであります。  また、この法律の制定の過程で、国防に対する位置づけがなされたということに宇宙の軍事利用につながるとして懸念がうわさをされております。  この検討されている内容を見てみますと、主に偵察衛星の開発への取り組みが中心となるとのことであります。このことに関しましては、既にアメリカから情報提供を受けるという形で活用がなされておりますし、これも他国の衛星ですから、思いどおりの情報提供をタイムリーに受けることが難しいということもあると聞いております。  我が国は、非核三原則のもと、核兵器を開発していくということはあり得ませんし、今後、偵察衛星の国産化が我が国の安全保障に大きく貢献するよう期待をするのであります。  それから、このたびのカラーピーマンからの農薬成分の検出についてでありますが、ポジティブリスト制度を導入するときにドリフトによる被害など生産者の気づかない間に被害をこうむるというリスクが挙げられてまいりました。  このたびの東串良のカラーピーマンの場合でも、農薬の成分が入っていないと思われていた農業資材が原因であったということで、今後、農業資材に対する成分や効果、使用方法などに対する基準づくりや公的管理の制度の創設が必要だと思います。  そして、製造者責任と販売者責任の所在を明確にしていかなければ、農作物に対する安全性の確保は覚束ないと思いますので、ただいま答弁をいただきましたように国への強い働きかけを要望するものであります。  また、このたび、東串良のキュウリが新たな鹿児島ブランドの指定を受けました。東串良のキュウリは、昭和六年ごろから栽培が開始をされ、昭和五十年に東串良園芸振興会のキュウリ部会として発足をしております。現在五十九戸の農家で年間二千八百四十三トンの共販量、七億一千七百万円の共販額という生産実績を誇っております。以前からブランド指定の要望が強かったのでありますが、指定基準の中でかごしまの農林水産物認証の取得により、産地のまとまりを評価されての指定であったと聞いております。このことに対する関係者の皆様方の御努力に感謝を申し上げるところであります。  農薬成分が基準値内であっても、消費者の信頼を獲得するためにあえて出荷自粛に踏み切るというのは大きな決断であったわけでありますが、そこには鹿児島ブランドであり、かごしま農林水産物認証第一号の誇りと責任がその決断を裏打ちしておりました。今後、このようなことがないよう、生産者で厳しい相互チェックに取り組み、品質を上げていくべきというふうに言われておりますので、県の引き続きの力強い支援をお願いをするところであります。  それから、直轄国道と一級河川の県への移管につきましては、公共事業の縮減の中、県への移管は整備の長期化につながると思います。  特に河川につきましては、災害が多発する中で、少なくとも床上浸水だけはなくし、県民の生命と財産を守る社会基盤をつくり上げないといけない。行政の役割を果たしているとは言えないというふうに思います。  御承知のとおり我が県の河川改修率は四五%で、今後の整備が待たれるところが多いわけですから、国の仕事を引き受ける余裕はないと思いますので、開促協等を通じて国にしっかりこのことを申し入れていくよう強く要望を申し上げます。  さて、来月には、環境と食料がメインテーマとなる洞爺湖サミットが開催をされます。日本は、環境においては、京都議定書への取り組みや環境技術の面におきましても最先端の技術保有国であります。  そこで、これを機会に先進国としての役割を果たしていくことが世界的に期待をされております。  また、食料も国内の自給率向上はもちろん、発展途上国の食料生産の向上が世界的食料不足を解消する早道でありますから、この機会にリーダーシップを発揮し、責任政党としての仕事を着実に果たすことで、さらに国民の信頼を獲得することを期待して、私の質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) 36 ◯議長(金子万寿夫君)次は、本坊輝雄君に発言を許可いたします。    [本坊輝雄君登壇](拍手) 37 ◯本坊輝雄君 本坊輝雄です。よろしくお願いいたします。  税の財源確保についてお尋ねをいたしたいと思いますが、初めに、道路特定財源の一般財源化につきましては、我が党県議団代表質問で取り上げられ、これに対し知事の考えが示されたところであります。私は視点を変えて、一般財源化に対する考え方を申し上げたいと存じます。  申すまでもなく、道路特定財源並びに暫定税率が果たしている役割については、我が国の産業経済基盤としての基礎的社会資本整備として多大なる貢献をなし、同時に、納税者としてのユーザーの皆さんをして、自身が利用されている道路整備という目的を果たすことで理解をいただき、長年にわたり重い負担をお願いしてきたということであります。それが今春の騒動の帰結として衆議院における再議決に当たり、地方財政や国民生活の混乱を回避するためとし、総理みずから一般財源化の方針が示され、さらに四月十一日の政府・与党決定と後日閣議決定がなされたところであり、不本意でありますが、結果として私自身、公の立場でこれを受けとめなければならないところでもあります。  ユーザーの皆さんも一人の国民として、国全体の財政状況から支払った税金が道路以外、医療や介護等の福祉関係や排気ガスによる環境対策など広く有効に使われることであれば、それもやむなしということになると思いますが、一方では、ユーザーの皆さんからは話が違うのではないかという声も聞こえてくるのであります。  ここで私が懸念することは、一般財源化の方針が一連の混乱を回避するため急遽打ち出された感もあり、議論の中身は道路の整備よりも予算の分捕り合戦的な様相を呈しているのではないかということもあり、このような中で私どもが長年訴え続けてきた地方の道路整備は、国会がねじれ、いわゆる不安定な状況で果たしてこの先計画どおりに進むのか、政局優先の犠牲になり議論はなおざりにされないのか、必要な道路はしっかりと整備するというものの、予算の確保はなされるのか、懸念されるところであります。  そこで、中央で一般的に言われている真に必要と判断される道路として、本県の道路整備が位置づけられるようその必要性をどのように知事は訴え、道路予算の確保に努められるのか、お伺いをいたします。  次に、今春の道路整備に関する二回にもわたる再議決等の大騒動は、昨年十二月の政府・与党での合意に基づき、政府が提出した暫定税率を含む関連法案等十年間の道路整備計画の是非をめぐり、特に暫定税率が三月三十一日までの日切れ法であったことなど、民主党など野党の出方一つが法案の行方を左右するという状況の中、原油の国際価格は急騰をし続けているという折も折でございました。あの時期にここぞとばかり一連の問答無用ともとれるやり方に、露骨な政局優先の思惑が透けて見てとれ、この先国民が希求する重要案件は果たして成就していくのか。国の人事案件についてもしかり、今日の政治状況は失望にも似た国民の声があったのも事実であります。  他党においては、ガソリン値下げ隊なるものをつくったり、果ては本県の平成二十一年度の供用開始を目指している新武岡トンネルなどの東西幹線道路無用論を訴えた方もいました。予定どおりに一時期暫定税率が切れたわけでございますから、与党にダメージを与え、さらに税率切れやその復活の前後日にはガソリンスタンドで給油待ちの車の長い列ができたなど、批判の矛先は政府・自民党に向けられたわけであります。  しかしながら、一方、政府・自民党にとりましては、歳入欠陥状態の自治体財政を放置していること自体無責任きわまりないところであり、地方六団体の要望にこたえてやむなく憲法で規定している三分の二条項、衆議院での再議決によって影響を最小限度にとどめるぎりぎりの手だてを講じさせていただいたところであります。今ここで振り返ってみますと、結果は、税率失効で生じた税収の穴埋めをどうしていくのか問題は残りましたものの、当初の方針どおり現行税率は維持されたところであります。そういたしますと、あの一連の騒動は何だったのか。ねじれの閉塞状況の中でこの先さらに政局絡みの国会が推移していくのか、政治全体に対する不信というものが増大しないか心配なところであります。  そこで、知事はこの一連の動きをどう見られていたのか、感想なり受けとめをお聞かせをいただきたいと思います。  消費税につきましては、時間の関係もありますし、知事が選挙が済んでからゆっくりとまたお尋ねをいたしたいと思います。  次に、ふるさと納税制度についてお尋ねをいたします。  地方と都市との格差を実感し、財源不足による厳しい自治体経営の中、過疎、少子・高齢化社会と真正面から向き合う鹿児島県、活力を求めて懸命の努力を続けるふるさと鹿児島に、日ごろから私は本県にゆかりのある県外在住の皆さんから、何らかの形で御支援をいただける制度はできないものかと願っていましただけに、このたびふるさとを応援したい、ふるさとに貢献したいという方々のお気持ちを、寄附を通じて実現するためのふるさと納税制度がスタートいたしましたことは、心から歓迎いたすところであります。  早速、本県においても、県内市町村とともに受け入れ窓口となるかごしま応援寄附金募集推進協議会を立ち上げ、この六月より県の東京・大阪事務所にふるさと納税課が新設され、専従職員が県人会回りなどを始めたところでありますが、郷土を思う、郷土に寄せる皆様の熱き愛郷心はふるさと会の結成にあらわれております。関東地区を中心とする関東鹿児島県人会連合会、東海地区を拠点とする東海地区鹿児島県人会総連合会、大阪を初め関西地区の関西鹿児島県人会総連合会など、本県を枠組みとする県人会連合会以上にさらに盛り上がっているのが合併前の旧九十六市町村や、小学校区を単位とするふるさと会であります。私の南さつま市にもおいて東京加世田会、関西金峰会、関西大浦会、関東坊津会、東海笠沙会など十五前後の組織が結成されております。  これまでさきの代表・一般質問等によって協議会設立に当たっての市町村からの意見や地方の財源の確保のあり方、寄附者の意思の尊重及び手続、相談等についてはお尋ねがありましたので、視点をがらっと変えて質問をいたします。  先ほど南さつま市のふるさと会を例に挙げましたが、県全体の県人会連合会以上に会員を把握し、名簿をリストアップできるのは旧市町村及び小学校単位のふるさと会であります。より多くのゆかりのある皆様にアプローチするためには、県と市町村が連携を密に情報交換を行う必要がありますが、その際、個人情報保護条例に基づいての対応については、双方どのように考えているのかお聞かせをいただきたいと思います。  次に、この六月に県の東京・大阪事務所にふるさと納税課が新設されました。県人会関係者は関東に百万人、関西に百五十万人いると言われておりますが、とりわけ三年ほど前に県の名古屋事務所を廃止した東海地区にも十五万人の県関係者がいるわけでありますが、事務所を廃止するときには、ふるさとを愛する東海県人会の皆様より大変なおしかりを受けたことを思い出しておりますが、この日本で最も元気な東海地区へのアプローチはどのようにお考えか。  また、全国各地の県にゆかりのある方々、県関係者にどのような形でメッセージを送るのか、お尋ねをいたします。  先月、九州各県議会議員野球大会に参加の折、同僚議員と福岡のヤフードームでソフトバンク対日本ハム戦を観戦する機会がありました。DHを含めて両チーム合わせて二十名のスターティングメンバーに、何と本県ゆかりの選手が五名も出場しているではありませんか。ソフトバンクでは岩崎、堀之内議員の鹿児島実業の後輩に当たります杉内、本多両選手、山口議員の鹿児島工業の後輩に当たります川崎選手、日本ハムの鶴田議員のふるさとの高山の出身の鶴岡選手に、れいめいの飯山の各選手であります。年棒を考えますと、高額の個人住民税を納付されている郷土の誇るプロ野球界のスターであります。この方々がふるさと納税に御協力をいただければと思うと応援にも熱が入ったところであります。  本県には芸能界やスポーツ界で活躍する出身者やゆかりのある方がたくさんおられます。坂上二郎さんや長渕剛さん、元ちとせさんや辛島美登里さん、森進一さんに、西郷輝彦さんに国生さゆりさん、三遊亭歌之介さんや綾小路きみまろさん、中には天璋院篤姫さんもいるんじゃないかということもありましたが、それは別といたしましても、このようにたくさんいらっしゃいます。今回のふるさと納税を応援いただくために、本県にゆかりがあり、県民を初め国民的な人気のある芸能界やスポーツ界の中から、応援団、サポーター等の名称はともかく、先頭に立ってふるさと鹿児島に元気を届けるふるさと納税への意欲を駆り立てる、ボランティアで広告塔となるべく方をお願いし、積極的なPR活動を展開するお考えはないか、お尋ねいたします。  最後に、振り込み詐欺防止についてであります。  このことは本県に限らず、全国的な対応が必要と思います。とりわけ、郷土鹿児島に温かい御支援の輪を広げていただく方々がこのような事件に巻き込まれ、ふるさと納税に対する真心を失うことがないよう十分な注意が必要と思いますが、その対応についてお示しください。  次に、市町村合併についてお尋ねいたします。  市町村合併において、これまで県の積極的な支援と関係市町村の自主的、主体的な取り組みによって、二〇〇四年十月十一日現在、十四市七十三町九村の九十六市町村で構成されていましたが、平成十六年十月十二日に川内市、東郷町、樋脇町、入来町、祁答院町と甑島四村が合併し、薩摩川内市が誕生したのを皮切りに、合併により新しく十八市町が生まれ、昨年十二月の川辺町、知覧町、頴娃町の南九州市誕生により十八市二十四町四村の四十六自治体となり、県内市町村数は半減いたしました。  ところで、知事は「知事と語ろ会」などにおいて、合併の問題について、「私は総務省で合併の最高責任者をやっておりまして、仕組みは全部私がつくりました」と、総務省時代を振り返りつつ、「国の財政改革の一環として、財界を初め財務省と地方自治体のあり方や地方交付税制度を守るための激しい戦いがあり、大変な論争があった。なかなか進まない合併に国としても相当強い力で合併をお願いし、地方が徹底的な行政改革をやっているという姿を示す以外になかった。結果として、日本全国三千二百三十二市町村が現在一千八百を切っているところまで進んでいる。今幾つか整理的な意味で合併が進んでいる。国も地方の合併について当初想定したような成果が上がっているというのが共通の認識だ。今後は強力に進めなければいけないという国の動機、要請はこれからはほとんどないのでは」と話しておられます。  そこで、先日、「これからの市町村合併については、これまでの合併についての全体的な検証が必要である」と答弁されています。国や県は今後の検証についてどのように取り組まれるのか、お尋ねをいたします。  県は現在、合併推進構想として七地域十八市町の枠組みを提示し、この十一月には大口市と菱刈町が合併し、伊佐市が誕生、姶良郡内の三町などで合併協議が進む中、最近知事の発言と、平成二十二年三月を目途に合併推進構想により合併を進めていることと矛盾しているのではないかという声が聞こえてまいります。一年ほど前に枕崎市で開かれた「知事と語ろ会」において、会場から次のような質問が出されました。「周辺市町が合併もしくは合併の予定となり、枕崎市はこのままでは取り残されていくように考えます。どうすればよいか非常に心配しています」というお尋ねに対し、知事は、「周辺を見たときに、南さつま市であれ、南九州市であれ、指宿市であれ、合併したばかりでいろいろ問題や合併を目前にクリアしなければならないことがある。これを解きほぐす過程が今後十年ぐらい続くだろう。そうだとすると、新しい自治体と改めて合併という動きや動機は起こらないだろう。枕崎市は今後十年ぐらい単独の道を探ったほうがいいのではないか」と答えております。  平成の合併に不参加の自治体は、本土では、枕崎市、阿久根市、垂水市、大崎町、東串良町の三市二町であります。今合併したばかりの自治体においては、職員、住民はもとより商工会、観光協会、老人クラブを初め各種団体等も旧市町村境を越えて新しい組織をつくり、一体化を図るために精いっぱいの取り組みを行っている状況である中、新しく生まれた自治体からの誘いがあれば別として、合併参加を申し出ることは現実的には難しいと受けとめ、知事の考えには理解を示すところであります。  しかし、一方では、昨年十一月の地方自治振興促進懇談会で、県が推薦してきた一島一自治体方針に絡み、徳之島町三町への合併の見解について、「合併を検証してからのほうがいいと思う。今は強制的または推奨して合併をやるべきではない。道州制のときに国土を再編する時期が来る」と答えておられます。自主的、主体的な合併を推進する知事の姿勢にこれまでとぶれはないと受けとめております。しかし、推進構想で枠組み外の枕崎市、阿久根市、垂水市、大崎町、東串良町など本土の残された地域をどうするかという問題と、一島一自治体を目指す徳之島、沖永良部、種子島など合併推進構想に位置づけた地域の合併を取り巻く環境はちょっと違うのではないかと思うわけであります。  私は、一島一自治体を初め合併推進構想の組み合わせとなる関係自治体の自主的、主体的な取り組みを推進するため、情報提供や助言など機運を高めることが求められていると思いますが、知事の考えをお示しください。
     また、自主的、主体的という言葉をどのように受けとめればよいだろうかと考えるところであります。これまで国や県は単独ではこれからやっていけないよと、財政状況が硬直化する市町村に対し、のどから手が出るほど欲しい財政支援や合併メリットを目の前にして、国と県と一体となって合併を推進し、情報提供や助言・調整を行った結果として合併は避けて通れない、合併をやらなければやっていけないぞという機運が高まり、自主的、主体的に合併協議会をつくり、合併に向かって歩み始め、十八の新しい市や町が生まれ、今日に至っているのではないでしょうか。  平たく申し上げれば、国や県の誘導がなければ、市町村の自主性、主体性だけでここまで合併は進まなかったのではないかと思うのであります。自主的、主体的という言葉の裏づけを四年前と比較してどのようにとらえればいいのかお示しをいただきたいと思います。  また、今後道州制導入のころに、平成のさらなる合併を考える時が来るだろうということは、私もそのように受けとめております。知事はこれまで勧告権を行使したことはありませんが、平成のさらなる合併、もしくは場合によっては道州制の導入を待たずに、早い時点で勧告権を行使する積極的な取り組みが必要になるのではないかと思います。今後の勧告権の行使を含めて合併推進における県の役割をどのように考えているのかお示しください。  以上で、一回目の質問を終わります。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 38 ◯知事(伊藤祐一郎君)道路整備に係る予算の確保についてのお尋ねがありました。  本県は、半島地域や多くの離島など地形的な制約を受けた広大な県土を有し、移動手段を自動車交通に大きく依存しておりますことから、産業の振興や地域の活性化、県民生活の安全・安心の確保を図る観点から、高規格幹線道路を初め県民生活に密接に関連する道路など必要な道路の整備は着実に進める必要があります。このような中で、国の道路特定財源が一般財源化されたことによりまして、道路整備に充てられる財源が削減され、高規格幹線道路や地域高規格道路など、本県にとって必要不可欠な道路の整備がおくれることを懸念しているところであります。このため、先般開催されました九州地方知事会におきましても、高速交通ネットワークの早期実現や地方財源のさらなる充実強化について緊急提言を行ったところであります。今後とも本県の地理的条件などの地域特性を強く訴え、必要な道路整備のための予算の確保が安定的に確保されるよう、県開発促進協議会などあらゆる機会をとらえまして、引き続き国に対して強く要請してまいりたいと考えております。  道路特定財源をめぐる今回の動きについて、どのように考えてきたかという御質問がございました。  道路特定財源関連法案につきましては、平成十九年度内の成立を強く期待していたところでありますが、このことが実現しなかったことはまことに残念なことであったと考えております。その後、去る四月三十日に税制関連法案の成立により暫定税率が回復し、また、五月十三日には、暫定税率失効中の地方の税収について、国の責任において適切な財源措置を講じる旨の閣議決定が行われますとともに、道路整備費財源特例法改正案が成立したところであり、これにより地方道路臨時整備交付金事業の実施が可能となったことなどは、地方財政を預かる者として大変ありがたいことであります。また、私といたしましては、当面早期に住民生活や地方財政の混乱が終息することを願っていたところでもあります。  道路財源のあり方につきましては、今後広範な論議が必要であると考えておりますが、政府・国会におかれましては、与野党を問わず地方の声にさらに真摯に耳を傾けていただき、地方に必要な道路が整備されますとともに、地方財政に悪い影響を及ぼすことのないような仕組みが構築されるよう求めてまいりたいと考えているところであります。  合併についてのお尋ねがありました。  今回の平成の市町村合併は、従来からあくまでも当該市町村の自主的、主体的な合併をお願いしてきたところであります。旧合併特例法の時代におきましては、地方分権を担える規模、能力を備えた自治体の形成を目指しますとともに、地方の行革を求める経済界等の要請に基づき、当時の地方財政制度を守る観点からも、できる限り地方財政支援措置、合併につきましての財政支援措置を講じた上で、地方行革の最終的な姿として国としても合併を強力に指導したところであります。  当時も合併につきまして、法律で一定の枠組みを示すという案もあったんでありますが、あくまでも最終的には議会の議決にゆだねるという自主的、主体的な合併の道を選択したところでもあります。その結果、御指摘もございましたように、本県でも九十六市町村が四十六市町村と約半減をし、全国では平成十一年三月末の三千二百三十二の市町村が、現在では千七百八十四市町村まで減少し、当初目的とした市町村合併はほぼ達成されたものと考えており、私といたしましては、当初の国の政策としての合併は一段落したものと考えているところであります。  また、現在、合併した市町村ではその一体性の確保に向けた精いっぱいの行財政運営が行われており、当該市町村の体制整備を図ることが当面の課題であると考えているところであります。  さきに県といたしましては、国の求めに応じまして、新法に基づき十八年三月だったかと思いますが、合併推進構想を作成したところであります。私といたしましては、今後特に合併が期待される地域といたしましては、姶良、加治木、蒲生の三町が挙げられると考えております。当該地域は六十万都市と十万都市の間にあり、地域の独自性に基づいた今後の地域づくりを考えますと、早い時期に一体化がなされたほうがよいと考えているところであります。一方、阿久根市、大崎町、東串良町はその所属する地域をどうするか、従来の経緯もあり、今後いましばらくの検討が必要であると考えているところであります。  また、奄美の島々の一島一自治体構想につきましては、現在の奄振制度のもとでは合併特例法と同じような財政支援があり、また、島々の町ごとの多様な地域社会を考えますと、いましばらくは現状のままでの地域の振興を図ることも一つの方法ではないかと考えているところであります。つい先日、沖永良部島に参りましたが、沖永良部島は和泊と知名でお互いが切瑳する形で島づくりが行われておりまして、これ以上の合併を急速に進めますことは無用の混乱を生じるおそれもあると考えているところであります。また、外海離島の島々は運命共同体としての基礎的条件を共有しておりませんので、合併は道州制の時期と合わせて考えるべきであり、道州制が導入されることになれば、奄美の市町村のすべてが一つの市にならざるを得ないと考えているところであります。  現在千七百八十程度の市町村があるわけでありますが、さらに二、三割合併が進んだ段階において、現在の府県制をどのように見直すのか。また、我が国の統治構造をどのようにするかについて、道州制の動きがまだ不透明なこともあり、国全体としての十分な意思の決定形成がなされていない状況であると考えております。したがいまして、地方分権の時代に対応して一定の規模能力を備えた市町村をつくるために、自主的、主体的な合併については好ましい方向であると考えておりますが、県が具体的な誘導策やいわゆる強制的に市町村の合併を積極的に推進することは、自主的、主体的な市町村の運営を尊重する立場から、当分の間、慎重に対応すべきものと考えております。 39 ◯総務部長(篠原俊博君)ふるさと納税における寄附者の個人情報保護についてでございますが、県におきましては、平成十五年四月に個人情報保護条例を制定しているところであり、かごしま応援寄附金の募集活動等に当たりましても、同条例に基づき個人情報の利用目的の明示や適切な管理に努めることといたしております。県内市町村におきましても、全団体において個人情報保護条例を制定しているところであります。  これを踏まえまして、かごしま応援寄附金の募集を行う際には、市町村が把握している出身者等については、市町村の側から広報紙等とあわせてパンフレットを送っていただく方法や、個人情報ではなく各種会合等の開催情報を提供、交換し合う方法、企業や事務所など団体等の単位へアプローチする方法、何らかの形で市町村から本人の同意を得てアプローチする方法等が考えられるところであります。いずれにいたしましても、寄附の募集に際しては個人情報の取り扱いについて十分注意してまいりたいと考えております。  東海地区等への寄附募集についてでございますが、かごしま応援寄附金の募集に当たりましては、本県関係者が多数在住する関東、関西での取り組みを強力に推進するため、東京事務所、大阪事務所に新たに各五名の専従班を配置したところでありますが、特に大阪事務所のうち一名は名古屋市駐在とし、東海地区の取り組みを強化することとしているところであります。  また、大都市と地方の税収格差是正という問題意識から生まれたふるさと納税の制度趣旨を踏まえると、基本的には、大都市に住む本県出身者や勤務経験者等の方々に積極的に寄附金を募ることとしておりますが、それ以外の地域につきましても、寄附募集推進体制を整備した県外事務所においてカバーをするとともに、市町村とも連携をした取り組みを行うほか、県のホームページ等を通じたPRを行ってまいりたいと考えております。  有名人等によるPRについてでございますが、かごしま応援寄附金の募集につきましては、まずは県人会や関係者等の御協力をいただきながら総会など各種会合等に出席したり、直接御説明に伺うなどによりPRや募集活動を積極的に行いたいと考えているところであります。本県出身の有名人等の方々につきましても、寄附の募集を働きかけたいと考えておりまして、その際に御了解がいただければ、お名前、写真、メッセージ等をホームページに掲載する等の方法で、かごしま応援寄附金のPRを行うことができないかということも含め、今後検討してまいりたいと考えております。  ふるさと納税に係る詐欺防止についてでございますが、県としてもふるさと納税をかたった詐欺行為等につきましては、十分な注意が必要であると考えているところであります。かごしま応援寄附金の募集に当たりましては、まずは寄附者の方からお申込書をいただくことにしておりまして、その際に入金方法を選択していただき、それに応じて納付書または振り込み用の専用口座や現金書留の送付先の御案内を郵送することとしているところであります。したがいまして、お申し込みのない方に電話で振り込み先をお伝えして送金をお願いすることは絶対にないところであります。このことは、パンフレットやホームページにも明記しておりますが、今後さらに注意を喚起してまいりたいと考えております。  市町村合併の検証に向けた取り組みについてでございますが、合併市町においては、合併の効果が現実のものになるまでに一定の時間が必要であると考えておりますが、県では、合併市町及び合併を推進する市町村の参考としますため、合併市町の実態調査を実施してきているところであります。調査内容は合併市町の状況等を考慮いたしまして、平成十八年度は合併前後において協議が難航または調整に時間を要した項目等について、平成十九年度は一体性の確保に向けた取り組みや財政面における影響等について調査を行っておりまして、結果につきましては、市町村に送付をいたしますとともに、ホームページに掲載するなど広く情報提供に努めているところであります。引き続き合併市町の今後の推移につきまして検証してまいりたいと考えております。  なお、国におきましては、第二十九次地方制度調査会におきまして、基礎自治体のあり方を調査、審議する中で、合併した市町村及び合併していない市町村の評価、検証等が行われることになっておりまして、必要に応じてこれらの情報につきましても市町村に提供してまいりたいと考えております。    [本坊輝雄君登壇] 40 ◯本坊輝雄君 道路特定財源の一般財源化につきましては、今後とも地方の道路予算の確保、そして財源の確保に取り組んでいただきますよう強くアピールしていただきますとともに、よく言われます真に必要と判断される道路、中央でいろいろと議論がありますが、これまでもこれからも鹿児島県民にとっては真に必要とする道路整備をお願いしてきたわけでありますので、どうかこの点につきましても強く御要請をいただきますようお願いをいたしたいと思います。  それから、ふるさと納税でありますが、先ほど鶴田議員からも納税に対しての後のフォローについての御提言もあったようでありますが、私は若干立場を変えて、やはり経費を、いわゆる財源を確保することが今回のふるさと納税の目的でありますので、できますれば可能な限り財源を確保できるように努力をする。特産品の考え方もありましょうが、後のフォローにつきましてはそれも含めて、人は皆、物をいただくこともうれしいでしょうが、みずからの行為に対して他人から評価していただく、感謝していただくことが最も満足感を味わうのではないかと思っております。寄附者の同意が前提となりますが、寄附者名を広く県民の皆様に御報告できるような取り組みも御検討賜りたいと。何はともあれ、今後内部でいろいろ検討されるわけでありますが、どうかよろしくお願いを申し上げたいと思います。  実は、昨年の夏、私が小さな小学校区主催の夏祭りに参加したときのことであります。祭りも終盤に入り、いよいよ花火大会が始まりました。私は通常の花火大会と違う打ち上げのアナウンスに感激し、心から拍手を送りました。それは、遠くふるさとを離れている地域出身者提供の打ち上げ花火であります。例え話でありますが、「東京在住森進一様提供一尺玉三連発、おふくろを頼む。地域の皆さん、力を合わせて心を一つに頑張ってください」そのような形で三十名程度の皆様の熱き思いを寄せた愛郷心の花火が、メッセージを添えてふるさとの夜空に打ち上げられたのであります。ふるさとを離れてもいつも心に宿る「兎追ひしかの山 小鮒釣りしかの川」を感じたところでありますが、地方の財源確保についての国の地方に対するなすべき基本的な考え方を見失わさせることなく、交付税のあり方等をしっかりと主張しつつ、今回のふるさと納税制度がゆかりのある皆様の温かい御協力のもと、ふるさと鹿児島のパワーアップのために大きなかけ橋となることを期待をいたしております。  次に、合併についてでありますが、合併をし新しく生まれた十八の市町も一部を除いて決して財政構造が安定しているわけではなく、多様化する住民のニーズにどのようにこたえ、一定の行政サービスを安定的に供給するために一段の厳しい行財政改革が求められているであろうと思います。では、合併しなかったらどうかということであります。知事は、合併を急がずじっくり検討したほうがいい。道州制を見据え急ぐべきではないとして、合併に対するスタンスを表明をいたしております。十年から二十年後の道州制導入までの間、国と県の現状と市町村の財政状況を踏まえたときに、一段と厳しさを増し、改善の兆しは見られないだろうと。とりわけ悪化の道をたどるだろうというのが一般的な見方であり、それまでの間、市町村において単独で行財政改革など自助努力はするものの、先行きは不透明であると思われます。  合併しない自治体運営について、これまで議会でもお聞きいたしてまいりましたが、これからの我が国の地方自治の仕組みは、合併した市町村を中心としたものにならざるを得ないと考えておりますと。県といたしましても、外洋離島や地理的条件により合併が困難な町村を除いては、厳しい行財政状況のもとで、合併した市町村を中心とした支援体制を構築していかざるを得ないと考えておりますというのは、将来にも結びつく話でありますので、これは十分理解をいたしております。  また、最近の知事の発言の中で、国全体の市町村合併の流れをつかんだ上での一つの発言であろうということも受けとめております。ただ、本県において合併を急がずとか道州制を見据えての発言はなぜ今なのか。少しワンクッション早かったのではないかなと思っております。合併推進構想の対象地域においては賛否両論、感情を乗り越え、抑え、合併後の自立と共生の我がまちのあるべき姿を求めて努力しているさなか、なぜこの時期にこのような発言をされるのかなという声が寄せられておりますので、今、任意で協議会がなされている地域もありますので、知事の真意が伝わっていないところもあるのではと思います。どうか今後とも合併による県土のあり方等についても、わかりやすく説明することも大切ではないかなと思っておりますので、御要望をいたしておきたいと思います。  次に、土木行政についてお尋ねをいたします。  初めに、公共事業予定地の用地難航対策についてであります。  国の建設投資は、ピーク時の平成四年に八十四兆円に達していたものが、平成十九年において約五十二兆円が見込まれ、ピーク時の約六割までに急激に減少しています。本県における公共事業予算は、ピーク時の平成十年度に約三千三百三十四億円に達していましたが、平成十九年度は一千三百二十六億円と四割まで減少し、県単公共事業は平成八年度のピーク時の八百三十九億円に対し、平成十九年度は三割弱の約二百二十二億円になるなど大幅に減少しています。今後、本県の財政状況も依然として厳しい状況が続く中、道路予算を例に挙げますと、道路特定財源の今後のあり方について、さきの代表質問等でありましたように、一般財源化が閣議決定され、道路予算の確保等についても必要な道路はしっかりと整備するとはいうものの、厳しい環境下に置かれることは必至であります。  このようなことを踏まえ、県としても限られた財源を有効に執行し、優先度による峻別化と重点化に努めていかなければなりません。そのためにも公共事業予定地の用地取得交渉の円滑化を図る必要が迫られております。このことを重く受けとめ、県においても用地取得の推進を図るため、本年度から用地難航箇所の解決策の検討を行う組織として用地難航箇所対策委員会を設置されたと聞いておりますが、その対策委員会の設置状況と現時点での用地難航箇所数、その主な理由及び難航箇所の用地交渉回数の状況についてお示しください。  また、何度も用地交渉に行ってもなかなか解決ができない難航箇所については、県はどのように取り組まれようとしているのか、お尋ねいたします。  次に、円滑な用地取得に当たっては、事業実施地域である地元との協力が必要不可欠と考えますが、県として地元との連携強化についてはどのような対策をとられて用地交渉に当たっておられるか、お聞かせをいただきたいと思います。  次に、新幹線全線開業と航路を生かしたまちづくりについてお尋ねをいたします。  九州新幹線鹿児島ルートは全線開業まで二年十カ月余りとなりました。平成十六年三月に新八代―鹿児島中央駅間が部分開業して以来好調に推移しており、全線開業を迎えますと、関西圏まで含めた商圏の拡大や観光を初めとした交流人口の増加など、本県にさまざまな効果をもたらすことが期待されております。これまで県内関係機関・団体で構成する新幹線効果活用プラン推進会議を設置し、ふやす、広げる、生かすという基本視点に留意して、観光・交通、産業、そしてまちづくりイベントの三つの分野で取り組むべき方策について検討を行い、このたび新幹線効果活用プランを決定いたしました。  観光・交通分野では、九州各県と連携したアジア諸国からの観光客の誘致を目指し、新幹線と航路を組み合わせた商品開発として、鹿児島湾内や屋久島向けの近距離クルーズなどを検討するとあります。新幹線発着の陸の玄関鹿児島中央駅に対応する鹿児島市中央都市軸を形成する海の玄関口はどこのことでしょうか。鹿児島港本港区がこれに当たると思います。  そこで、ウォーターフロント開発を協議する鹿児島港ポートルネッサンス21事業推進協議会のあり方についてお尋ねいたしますが、推進協議会の役割は港湾の整備に重点が置かれ、これまでも観光交流という視点が不足していたのではないかと思います。幹事としての県の観光課長の立場、委員としての県の観光交流局の位置づけをどのようにこれまで考えてきたのか、考えているのか、お尋ねをいたします。  次に、本年二月に鹿児島港本港区ウォーターフロント開発に関するアンケート調査を実施されましたが、調査のねらいと県民からどのような提案がなされたものかお聞かせください。  次に、B街区七千平米の活用について、当分の間、現状のままイベント会場や臨時駐車場として多目的な利用を図り、住吉町十五番街区二万八千平米と一体的な開発を進めるとされておりますが、住吉町十五番街区の再開発については、住宅居住者等の移転など時間を要すると聞いております。そこで、B街区については、雄大な桜島を眼前にすばらしい景観を有する本港区の玄関口であり、速やかな開発が望まれるため、住吉町十五番街区との再開発とは切り離して民間活力を導入して効果的な利活用を図るべきと思いますが、お考えをお示しください。  次に、県立農業大学校の活性化についてでありますが、鹿児島県立農業大学校は、本県農業・農村を担うすぐれた農業者や農村地域の指導者等を育成することを目的に、昭和五十三年に開校し、平成十五年四月に現在の吹上金峰地区に移転・開校いたしました。この新しい農業大学校は、広さ三十四ヘクタールの広大な敷地に総事業費約百七十億円をかけ、全国でも最新の設備と規模を誇るものとなっております。平成十九年七月には専修学校として位置づけられ、卒業生に対して短大卒と同程度である専門士の称号の付与などが図られました。平成十九年には開校三十周年を迎え、この間延べ約三千人の卒業生を輩出し、最近では就農率も向上してきており、県内各地で農業・農村のリーダーとして活躍されております。  しかし、入学者は移転・開校した平成十五年度をピークに年々減少し、学科別にも応募者の偏りがあります。現在、県では少子化等の現状も踏まえ、魅力ある農大づくりのため、学部学科の募集、受験区分やその定員の見直しなど、農業大学校が抱えるさまざまな課題について検討しているとお聞きいたしております。  そこで、お尋ねをいたしますが、初めに養成部門についてお尋ねをいたします。  定員に対する入学者を示す定員充足率によりますと、平成十五年度の一〇三・五%をマックスに、この五年、九九・一%、九二・二%、八七・八%と下がり続け、平成二十年度は八五・二%であります。あわせて合格したものの入学しない入学辞退者が平成十五年から十九年までの五年間で二十八名でしたが、平成二十年度は一年間で十九名の辞退者があったとお聞きいたしております。このように定員充足率の低下と入学辞退者が増大したことなどをどのように分析しているか、お尋ねいたします。  次に、養成部門を卒業後、進路資格のある研究部門についてお尋ねをいたしますが、平成十五年開設以来、定員は二十名でありましたが、延べ六年間で百二十名の定員に対し過半数にも満たない五十八名の在学率であります。技術と高度なマネジメント能力を備えた地域農業の中核となる担い手及び農村地域の指導者を育成するという目的で設置された研究部門でありますが、過半数に満たない在学率では学生や農業関係者の期待にこたえてないと思います。このような状況の研究部門のあり方をどのように受けとめているか、お尋ねをいたします。  また、昨年九月からこれまで内部で議論をされてきたようでありますが、まだ中間まとめにも入ってないということであります。いつごろを目途にまとめられるのか。また、十年後を見据えた農大のあり方について内部議論は闊達にやっておりますが、視点を変えて、農業関係者にこだわることなく、外部の教育関係者であれ、流通関係者であれ、異業種の方々の御意見も参考にする必要があると思いますが、お尋ねをいたします。  次に、獣医師の確保に向けた取り組みについてでありますが、全国的に獣医師国家試験合格者は毎年一千人前後で推移、総数が増加する中、公務員獣医師や産業動物診療獣医師が大きく減少し、小動物診療獣医師が大幅にふえております。昨日も堀之内議員からもございましたが、現在、本県の獣医師職員は二百二十二名配置されておりますが、本年度も合格者の辞退と定年退職者を上回る自己都合による早期退職者が増加したため十五名程度の不足が生じ、深刻な問題となっておりますが、このほどプロジェクトチームで検討し、四月末に具体的な対策案をまとめ、この新年度からそれぞれ事業を実施しているところであります。  そこでお尋ねをいたしますが、全国には獣医師を養成する大学は十六校ありますが、獣医学科は六カ年制であります。これまで県は不足している公務員獣医師を確保するため、大学の五、六年生を対象に公務員獣医師への要請を行ってきておられますが、大学側によりますと、研究室に入る、進路を決定する、内定する一、二年生時に要請を行ったほうが効果的ではないかとお聞きいたしております。  また、畜産県である本県のもう一つの大きな悩みは、肉用牛を初めとする大動物を専門とする産業動物診療獣医師が不足し、農業団体等もその確保に苦慮しているところであります。全国的にも大動物を選択する獣医師は毎年誕生する一千名の獣医師の中でわずか五%と聞いております。このような状況を踏まえ、今後公務員獣医師及び産業動物診療獣医師を確保するために、県内の高校生や鹿児島大学等への積極的な働きかけが必要と考えますが、対応策をどのようにお考えか、お尋ねいたします。 41 ◯土木部長(河瀬芳邦君)用地難航箇所についてのお尋ねにお答えします。  用地難航箇所対策委員会につきましては、用地補償にかかります交渉回数が五回以上に及ぶなど、いわゆる用地難航箇所に対しまして処理方針を決定するために、今年度から各地域振興局及び支庁など十三の組織に設置したところでございます。用地難航箇所は、平成十九年度末現在で百二十三カ所ございます。難航の主な理由といたしましては、事業への反対や補償内容への不満、これが四割でございます。権利者の所在不明や境界の不確定などによります登記困難によるものが約四割となっております。また、平成十九年度は約三千件の用地取得を行っておりますが、その九割以上が二回から三回の用地交渉で契約の締結に至っているところでございます。  しかしながら、この百二十三カ所の難航箇所につきましては、これまで平均七回から八回の用地交渉を行っており、なかには十回以上交渉を重ねても契約に至ってない状況のものが二十五カ所ございます。県といたしましては、本委員会におきまして用地難航の原因分析を行い、的確な用地交渉を行うことにより、速やかな用地取得を行おうとしているものでございます。例えば、事業反対や補償内容等に対する不満の方につきましては、事業の必要性や補償基準につきましてわかりやすい説明を行うなど誠意を持って交渉を行う。また、登記困難事案につきましては、不在者財産管理人制度や筆界特定制度などの制度を活用しながら解決を図ることとしてございます。それでもなお任意交渉でなかなか解決が図られない場合につきましては、用地取得の状況や工事の緊急性を勘案しながら、土地収用法の適用も視野に入れて適切に判断してまいりたいと考えております。  地元との連携につきましては、公共工事の円滑な推進が地域振興の観点からも極めて重要でありますことから、地元において事業予定地の地籍調査の促進や事業に対する合意形成を図っていただくとともに、地元の市町村や地権者協力会及び地域の実情に精通されました公民館長さんなど、より一層連携協力を深めながら計画的、効率的な用地取得に努めてまいりたいと考えております。  次に、鹿児島港ポートルネッサンス21事業推進協議会のあり方についてのお尋ねでございます。  鹿児島港ポートルネッサンス21事業推進協議会は、県民や観光客の皆様が楽しみ、憩えるウォーターフロント空間の創出を目的といたしまして、本港区の開発を推進してきたところでございます。その結果、現在、本港区はウォーターフロントパークやドルフィンポートなどの整備により、鹿児島の新しい観光スポットとして定着してきているところでございます。御指摘のとおり、本港区が南九州の海の玄関口としてさらに発展をしていくためには、観光の視点も重要であることから、観光交流局の参画につきまして、本協議会で協議してまいりたいと考えております。  次に、鹿児島港本港区ウォーターフロント開発に関しますアンケートの調査結果についてでございます。  鹿児島港本港区ウォーターフロント開発に関するアンケート調査結果につきましては、今後の開発に向けた取り組みを進めるに当たり、周辺の企業、団体がどのような御意向をお持ちになっているか把握することを主眼として実施されたものでございます。主な意見といたしまして、B街区の活用につきましては、現状のまま多目的に利用すべきとの御意見がある一方で、商業施設や緑地公園など何らかの開発を行うべきといった御意見も出ているところでございます。  また、住吉町十五番街区の再開発につきましては、特産品、鮮魚などの市場についての御提案が一番多かったものの、複合型商業施設や展示場などの公共的施設についての御意見も寄せられたところでございます。今回の調査結果を参考にどのような施設が望ましいか、引き続き調査を進めてまいりたいと考えております。  B街区の民間活力導入による効果的な利活用についてでございます。  B街区につきましては、本協議会におきまして、当分の間、現状のままイベント会場や臨時駐車場として多目的な活用を図るとの方針が示されておりますが、このような中、お盆や年末年始の繁忙期を初めといたしまして、種子・屋久高速船ターミナルの利用客の駐車場が不足している状況にありますことから、本年度暫定的に有料駐車場として整備することとしているところでございます。  また、再開発を計画しております住吉町十五番街区につきましては、これまで民間の冷蔵倉庫などが撤去され、本年度中には鹿児島市において洲崎団地も解体、撤去されるとの予定だと聞いておるところでございます。したがいまして、B街区の開発のあり方につきましても、周辺地区とのつながりや御指摘の民間活力の導入といったことも考慮しながら、あらゆる角度から検討してまいりたいと考えております。 42 ◯農政部長(弓指博昭君)県立農業大学校の活性化についてですが、県立農業大学校における養成部門の定員充足率の低下要因は、高校卒業者の減少や大学、専門学校等との競合、学部学科ごとの応募者の偏りなどが考えられるところでございます。  また、二十年度の入学辞退者が急増した要因は、大学との併願者が多く、辞退者がふえたことが大きく影響したものと受けとめております。  研究部門につきましては、本県を初め九州各県においてもいずれも定員を満たしていない状況にございまして、このため、九州地方知事会議におきまして、既設四県のうちいずれか一県の農業大学校に研究部門を集約できないか検討が進められており、現在、組織、運営等のあり方などについて総合的な議論が行われているところでございます。こうした動きなどを踏まえまして、魅力ある農大づくりを進めるため、農業高校のみでなく広く就農意欲の高い高校生の養成部門への入学誘導や、先進的な農業法人での実践的な研修の充実、さらには学部学科の募集、受験区分や定員の見直しなどについて、現在幅広くさまざまな方の意見を聞きながら検討を進めておるところでございます。取りまとめにつきましては、平成二十二年度の募集要項の決定が二十一年五月ごろでございますことから、年内を目途にしております。  次に、獣医師の確保策につきましてですが、県としては対象となる若い方々に、できるだけ早い段階で産業動物獣医師への関心を持ってもらうことが重要であると考えておりまして、本年度から高校生や大学の低学年生に対し、本県畜産の現状や獣医師の職場紹介などを行う場の設定を計画いたしますとともに、家畜保健衛生所や食肉衛生検査所等の職場を実際に体験してもらうインターンシップを実施することとしております。今後ともこうした働きかけを強化し、獣医師の確保に努めてまいりたいと考えております。    [本坊輝雄君登壇] 43 ◯本坊輝雄君 それぞれお答えいただきましたが、ただ一つ、農大につきましては、私は大変歯がゆい思いをいたしておりますのは、国公立大学の農学部の滑りどめに農大がなっていると、そのような現実は非常に残念なことであります。今後は、幅広く将来にわたって検討を重ねていただきまして、できることならば、九州をステージとした九州農業専修学院─仮称ですが─と農大と一緒になって、そして養成部門の一部と研究部門の一部と合体したような、そのような九州で農業を学ぶならば、農業のラ・サールと言われる鹿児島にあるあの農業専修学院なり農大に行きなさいと、そういうようなやはり農大をつくっていただきたいと思っております。  それから、知事、あと二週間いたしますと待ちに待った選挙であります。どうかお体に気をつけて二期目へ力強くスタートする選挙となっていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。(拍手) 44 ◯議長(金子万寿夫君)これで、本日の日程は終了いたしました。       ───────────── 45    △ 日程報告 ◯議長(金子万寿夫君)明日は、午前十時から本会議を開きます。  日程は、一般質問であります。       ───────────── 46    △ 散  会 ◯議長(金子万寿夫君)本日は、これで散会いたします。        午後三時十三分散会 鹿児島県議会 ↑ ページの先頭へ...